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桐生  作者: 深月桂
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1.想う思い


私は蔵入陸。

中学までは都会の学校に通っていたのだけど、祖父母が亡くなり田舎に越して来た。

私は東京に残っていたかったのだけれど両親は1人暮らしを許してくれなかった。

初めてこの地域に来た時、心の底から後悔した。なんとしても、東京に残っていればよかった。

山を超えるとそこには畑と田んぼと家畜しかいなかった。

晴天。野生動物に注意を促す看板が幾つも曲がっていた。

これから先、いろいろと不安がある。

車の中でそんな事を思っていた時、中学時代の友人からメールが届いた。

「高校生になったらさ、彼氏とかできるのかな?お互い頑張ろうね!陸は可愛いからきっとすぐできるよ、そしたら連絡してね!私もちゃんと報告するから!じゃあ元気でね。また遊ぼうね!」

車とフェリーを使って7時間。

山を超えてから駅どころか線路も見ていない。きっと一時間に一本あるかどうかの地域なんだろうな。東京までかかる時間や手間を考えて、私は戻る事を諦めた。

大学は東京に戻ってやるんだ。それまでの我慢だから……。

そう自分に言い聞かせた。


家は広かった。私はパソコンをネットに繋げ、早速動画を見始めた。

恋愛モノのアニメ。こんな簡単に人を好きになれるはずなんて無い。

メールをくれた彼女も夢を見過ぎなのだ。

そう何事にも悲観的になっていた。


春休みが終わり、高校が始まった。再来年廃校になるらしい。さらに人数も少ないとか。

再来年の事はその時考えればいい。そう思っていたけど、行ってみてびっくりした。

思ったより学校は動物臭い。自己紹介では家で動物を飼ってる人が多い。実習等では成績が下がるだろうと覚悟した。

クラスメイトの自己紹介は半分くらい聞き流していたが、桐生御琴の面倒そうな話は印象に残っていた。


クラス替えも席替えもない。

実習の成績もそこそこ。毎日がつまらないこと意外は何も無く、暇すぎる毎日を過ごしていた。

ネットではクラスメイトの作った掲示板で話したり、アニメ見たり。

買い物をするのにも片道一時間はかかる。同級生の女子とも買い物に行ったことがあるが、楽しいとはあまり思えなかった。いいものが無いからいつもネットで買い物をしていた。

私は自分が浮いてるように感じた。

でも同じような雰囲気をかもし出しているクラスメイトがいた。

自己紹介の時からめんどくさそうな雰囲気を出していた桐生御琴だ。

だいたい彼は小説を読んでる。ジャンルは古典が多い。

作者は聞いたことあるけど、読もうと思ったことなんて一度も無い。

チャット意外ではほとんど話さないけど、何か気になる。そんな感じだった。


ある日、図書館で本を借りようとしていた。

古典文学の横。ライトノベルコーナーに私はいた。

入り口が開き、足音が近づいてくる。

……彼は横に来ていた。

「僕は喜劇よりも悲劇が好きなのだけれど」

ハムレットを手に取る。

「人は何故裏切るんだろうね」

そういい残して去っていった。


ミステリーものの小説を手に取り、私は受け付けに向かった。

彼はもういなかった。

追いかけようかと思ったがやめた。

番外編スタートしました。ネタバレの可能性が発生するのでなるべく本編を御覧になってからきてください。それではよろしくお願いします。

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