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桐生  作者: 深月桂
16/25

16.藍喘佳魅

翌朝。

御琴はベッドから出てこようとしなかった。

親は既に家を出ていた。

時間はとっくに朝礼の時間を過ぎている。

それでも布団をかぶってぼんやりとしていた。

そしてさっきから電話が鳴っている。

うるさい……。

彼はその程度の認識だった。どうでもよかった。


二時間目が終わるころようやくベッドから這い出し、着替え始めた。

電話は鳴り続ける。その音は彼に届かない。

彼は手ぶらで学校に向かった。


教室は誰もいない。

この時間は理科室か。なら僕は体育館にでも行くか。

教室を出て体育館に向かい始めてすぐ手を掴まれた。

「何故電話に出なかった……?」

担任が今にも泣きそうな顔をして立っていた。

「すいません、気づきませんでした」

「気をしっかり持てよ、桐生」

この時点で彼は全てを察しただろう。

「木瀬紫苑、愛島悠子、藍喘佳魅、あと……。」

「彼ですね」

「……そうだよ」

「皆死んだんですか?」

先生は涙を流し、言った。

「そうだ」

彼は表情を変えなかった。

「荷物を持って職員室に来なさい」

先生は彼の腕を離した。

「このまま行きます。荷物持ってきて無いので」

分かった、と言って先生は御琴に背を向け、職員室に向かった。


彼の父親が迎えに来たのは夜遅くだった。

それまで彼はずっと応接室にいた。

昼食も取らず、ただ座っていた。

彼は何を考えていたのだろう。

一人残された彼は。


「御琴、来週引っ越そうと思うが、どうだ?」

彼の父が言った。

「いや、僕はここに残りたい」

「お前がそれを望むならここに残ろう」

彼の父は微かに笑った。


車のライトが突然消える。

家まであと少しなのに……。

「この距離なら目をつぶっても帰れる。大丈夫だよ」

そう言って父は運転を続けた。

彼は疲れたのか、窓から闇を見つめていた。

ガタンと突如車が揺れたが、それから暫く車を動かした。

「着いたよ。御琴」

「ありがとう、父さん」


「本当に引っ越ししなくていいのか?」

「いい。僕は多分、二度と幸せにはなれない」


彼はそれでも嬉しそうに笑った。

これで本編は完結しました。

拙い文書、拙い表現にお付き合いいただき、とても嬉しいです。

ありがとうございました。

当初の予定とは違う完結を迎えたのですが、これはこれで面白いかなと思い、この結末に変更しました。

桐生はまだ番外編を書こうとおもっています。

前にもお話しましたが、一人一人が持つ物語、詳しい設定、本編の解説等投稿していきたいと思います。

よろしければ引き続きよろしくお願いします。

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