14.木瀬紫苑と愛島悠子
その夜、チャットにて。
「陸、事故って言ってたけど……まさか自殺じゃないよね」
悠子が投稿した。
「まさか」
「なんでそんなこと、思ったの?」
「だって、私たちが陸にあんな態度取ったから、陸が私たちに失望して自殺したのかと……」
「大丈夫だよ」
「どうせスピード違反だろ?」
「そっか……なんかごめんね、変なこと言って」
「だからもう気にするなよ」
「ありがとう」
悠子が退室した。
「悠子って優しいよな」
佳魅が言った。
こいつー。なんて一瞬思ったが、悠子は本当に優しいと思う。いや、悠子に限らず皆は意外と仲間思いなのだよ。
「じゃ、解散するか」
「ばいばーい」
「ノシ」
僕は気分的に、過去の投稿を眺め始めた。
実はこの掲示板の管理主は自分なのだ。
入学してなんとなく全員の距離が縮まった頃、学校から家が遠かったりクラスメイトどうし家が遠いとかあってネットとかでコミュニケーションが取れたらいいなと思って作った会員制掲示板だ。
初めての行事、先生の悪口、励ましあい……。
全てよい思い出だ。
ここに書き残した人たちの半分がもういなくなってしまった。
入学当初、初めて会った時、だれがこんなことを想像しただろうか。
自分のほほを涙がつたった。
翌日、学校、帰る前。
紫苑と悠子が階段の踊り場で話していた。
時より怒鳴りあい、穏やかには見えない。
「私を疑っているの?」
悠子が言った。
「そんなこと言ってないよ!」
「だってそんなこというんだもん…」
「私はただ…!」
「だから何も隠してないわ!私も佳魅も皆に隠してる事なんて何もない!」
「……。」
「紫苑、貴方はどうなのよ?」
「私だって何も隠してない!だって、一人が嘘を吐くより、二人で嘘吐いたほうが確実じゃない!宗があんな事になってからよく話聴いてもらって嬉しいけど、信じられなくなっちゃったの!」
「もう誰も疑わないって陸の時決めたのに。約束破るのね。もう、最低。悲しいのは、苦しいのは、貴方だけじゃないのに!」
悠子が紫苑に背を向け、階段を降り始める。
「待って!」
紫苑が悠子の腕を掴んだ。
「離してよ!」
紫苑の腕を振り払う。
その時、紫苑がバランスを崩した。
「あっ…」
紫苑の巻き添えを喰らうように悠子もバランスを崩す。
二人はそのまま倒れた。
階段の角の段差に頭をぶつけ、転がりおちる。
鈍い音が周囲に木霊した。
一つ下の踊り場まで転がると二人はそこで止まった。
二人は起き上がってこない。
それどころか、頭から血が流れだした。
段差を伝ってどんどん自分に近づいてきた。
自分は二人の元へ駆け寄った。
血をぴしゃぴしゃと踏みながら。
上履きやズボンのすそに血が飛ぶのも気にせず。
二人とも目は開けたままだった。
そして、二人の首筋に脈は確認できない。
二人とも死んでしまったようだ。
自分は目撃してしまったのだ。
その光景を。
お久しぶりです!最低、大学やらバイトやらアニメが見たいやらでなかなか時間が取れなかったのです。桐生というこの小説も半分位進んだのではないかと思います。もう少しお付き合いいただけると嬉しいです。それではまた。




