とある宝石店にて
後書きはまだ見ないでね。
ここはとある大きな宝石店。金持ちを歓迎。文無しは来んな、出てけ。
今日もこの店にはさまざまな客層が伺える。静かで上品な雰囲気なマダムに、いかにも成金上がりのちゃたちゃらとした軽薄な男。でも金持ち歓迎よ。
ショーケースの中に並ぶ宝石は輝きを強く放ち、多くの客を魅了し続けるの。
することもないので、店内を見渡していると、入口から男と女のカップルが入店して来た。
女の方は、高級なブランド物のバッグや時計をしているのは分かる。でも、その輝きに持ち主が負けている。全然華やかじゃない。品格が欠けているとでも言うのかしらね。おまけに男遊びが激しそう。私の見立てでは、ビッチね。私の方がよっぽど輝いているわ。
男も男もね。高級そうなスーツに金ぴかの腕時計をしており、金持ちだと一目で分かる。でも、そのヘラヘラとしたニヤケ面はいかにも頭が弱……いや、ハッキリ言うのが優しさね。バカに見えるわ。お似合いのバカップルよ。
その二人のカップルは私のところにやって来た。そしてよく見ると、この男はこのお店の足繁く運んでくれる常連だった。
しかも面白いのは、お店に来る度に女が変わっているということ。毎回プレゼントして振られているのだろうか。こいつ、本当に女を見る目がないわね。
この男にはたくさんの宝石を買われて行った。ルビーのネックレスや、サファイヤの指輪と、上げだしたらキリがない。
女が何か宝石をご所望のようで「買ってよ、買ってよー」と、連呼する。
男も男だ。「どうしようかなー?」と言いながらも、既にスーツの懐に入った財布に手が伸びてるじゃないか。バカなの? 救えないほどバカなの? 腹立つんだけど。
女がショーケースの中をじっくりと見ていく。今の彼女の目は、宝石のように輝いていた。
すると、「これがいい!」と、指差したのは、……私だった。
瞬間、私の胸内で『マジ!?』と声が漏れた。
冗談じゃない。私はトータル10カラットの豪華なダイヤの指輪よ!?
本気で言ってるの?
この女になんてガラスで十分じゃないの?
……そんなこんなで、私は女の指に嵌っているわけで。買った瞬間にすぐに指に嵌めたの。このまま指をねじ切ってやりたいくらいだわ。
男は「似合っているよ」と彼女に言う。黙ってください。
女は「でしょ」と、嬉しそうに言った。やれやれね……。
金持ちは歓迎。でも、私たちだって、持ち主と一緒に永遠に輝き続けたい。出来るなら、分相応の人に買ってもらいたい。でも、まあ、これも受け入れるしかないのだけど。それでも釈然としないわね。
ああホント、このバカップルは見る目が無いわね。
視点を工夫してみたつもりだが、即興で書いた分少し粗い。もうちょっと技術を身につけたいです。