見える見えるぞ
二話目です。
この文を見ているということは一話目を読んでくれたということで、どうもありがとうございます。
短けぇよこの野郎と思った方もいるでしょうが、ご勘弁を。
「……まじかよ」
いきなりですが挫けそうです。
あの後、とりあえず丘まで歩いて今丘の上なんだけど周囲360度草原です。
見渡す限りの緑です。本当にどうもありがとうございました。
草食動物にしたら天国なんだろうなぁと現実逃避をしてみるものの、景色は変わらず緑一色(決して麻雀の役ではない)。
とりあえずちょっと休憩するか、結構歩いたし。
俺は少し道を外れた所に腕を枕にして寝転んだ。
あぁ、風と草が心地いい。
ちょっと暑いけど、風が吹き始めたからちょうど良いくらいだ。
……なんか気持ち過ぎて眠くなってきた。
目が覚めたら見知らぬ場所にいるなどという通常ならありえないコトを体験したことによる精神的な疲れも相まってか、俺の意識は簡単に眠りの世界へと誘われた。
-???side-
「アルヴィス様、200mほど先に人が一人いるようですがどうされますか?」
人?こんなところに珍しい、依頼帰りの傭兵か旅人だろうか?
どうやら丘の上まで危険が無いか見に行かせていた護衛の一人が見つけたようだ。
「武器等は?」
「いえ、見る限り丸腰のようですが……」
丸腰だと?いくらこの辺りは安全といっても夜になればモンスターも出る。
無手の達人か何かだろうか?
なんにせよ少し興味がわいた。
「案内してくれ」
馬車を降り、3人の護衛に囲まれながら目的の人物がいる場所に向かう。
「この男です」
案内された場所には確かに人がいた。
だが明らかに傭兵というには無理がある線の細い身体。
そして丸腰どころか荷物すらない。
一体、彼は何者なのだろうか。
私は寝ている青年の正体を考えながら彼に声をかけた。
-side out-
「……み……君」
何か声が聞こえる。
「君、起きたまえ」
はっきりと聞こえた声に反応し目を開けると、目の前にはフルプレートの鎧を着て、俺を警戒するように剣を抜いて構えている兵士が3人、そして彼らに守られるように立つ貴族風の男が1人。
顔は少し日に焼け、男らしい顔立ちであごひげを生やしており、引き篭もって好き放題する傲慢な種族という俺が考えていた貴族の想像図とは違っている。体つきはがっしりしており短めのブロンドの髪をオールバックにしているため、今着ている高そうなスーツみたいな服ではなく鎧とか着ても様になりそうだ。
「……誰だ?」
そう言ってから俺は自分の異変に気付く、なんか見えてる。
Name: アルヴィス・クル・ハードレイ
Age: 36
Sex: 男
Class: 伯爵
パラメータかこれ……?
「どうした?」
いきなり思案顔になった俺が気になったのか、怪訝そうな顔でそう尋ねてきた。
「いえ、なんでもないです」
伯爵だとそれなりに偉いはずだから無難に敬語で返しておく。
パラメータに関しては後で考えるとして、このハードレイ伯爵がどんな意図で話しかけてきたのかが先だな。あとできたら町まで送ってもらえるか頼んでみよう。
「それで、私に何か用でも?」
「あぁ、このような所で荷物も持たず何をしていたのかと思ってね。差し支えなければ教えてもらえるかな」
暑くて目が覚めたらこの草原にいました。テヘッ。
明らかに不審者認定されて3人の兵士さん達の持つ腰のものが赤に染まるな……。
「私は旅の者ですよ、荷物は特にいらなかったんで持ってないですね」
……俺のバカ、荷物持たない旅人がいてたまるか。手ぶらで旅とか完全に頭おかしい人だろう。
ちょっと旅行ってくるわってか?コンビニかと。
-アルヴィスside-
まさか本当に何も持っていないとは思わなかった。本当に武術の達人か何かだろうか?
「武術か何かをやっているのかね?」
「いえ、特には何も……」
少し困ったように言う彼にはどこか陰が感じられ、これ以上聞いてほしくないという雰囲気を醸し出していた。
あまり触れられたくない話題なんだろう。
「そうか、しかしこの辺りは夜になればモンスターが出る。丸腰は拙いだろう?」
しかし彼は何も答えない。おそらくこの辺りのモンスターごとき相手にはならないとでも言いたいのだろう。
ふむ、少し同行して様子を見てみるか。
-side out-
…………モンスターだと?
そんなゲームじゃあるまいし存在するわけが……ないと考えようとしたが、いまだに見えている伯爵や兵士たちのパラメータを思うと何とも言えないということに気づいた。
そして俺は目の前に浮かぶウィンドウのようなものを見ながらため息をついた。
この先どうなるかと少し不安になっているところに伯爵が話しかけてきた。
「どうだね、次の目的地が決まっていないのなら私達に同行してみるのは?」
「アルヴィス様危険です!このような輩を同行させるなど。」
マジで?ラッキーとか思っていると隣から兵士の一人が反対の声を上げてきた。
おいお前ふざけんな!という気持ちを込めて睨んでいると兵士はたじろぎながら下がった。
いやいや確かに俺の目付きは悪くてよく不良に間違われたりもしたけど本職の人が引くってどうよ?
一応、伯爵がたしなめてくれたようで同行は許してもらえることになったようだ。
聞き耳を立てるとなにやら俺の力を見るとか空耳であってほしい言葉かいくつかあった気がするがきっと気のせいだろう。そうに違いない。
また少し現実逃避していると、少し不満そうな兵士の人に案内され伯爵が乗ってきたと思われる馬車に乗り込んだ。
どうでしょうかね?
すでに微妙ですが勘違いが始まっていますけど。
もし感想や意見があればよろしくお願いします。
作者は、人物の名前を決めるのが苦手なのでよろしければ読者の方から募集したいと思います。
なんか貴族っぽい名前を考えて送ってみてください、おそらく結構な確率で反映されます。