ここはあえて間違えるのが正解だったかもしれない……
駄文駄文駄文駄文駄文!!!
きっと母親の中に文才を忘れてきた円男です。
だれかアドバイスを!!!
いざとなったら母親の中に文才を取りに帰るしかないな。
これは……なるほど、あのおっさんじゃ分からないわけだ。というか、普通の鑑定士じゃ分からないだろう。
俺はただ無造作に手の上にある木像を見る。
傍からは鑑定しているなどとは全く思えないだろう。
だが俺にはコレで視えるし、なによりこっちのほうが信憑性が増すだろ。
Name: 木彫りの像
Class: ――――――
Author: アリシア・セーヌ・フォン・クラウセル、リディア・セーヌ・フォン・クラウセル
Value: ――――――
Info: 幼き頃の王女二人が父親を模して彫った木像。人かどうかも怪しい形だが、何か温かなモノを感じる。
頭の中で幼く小さな手で小刀を一生懸命操って木を彫る二人を想像して、凄くあったかい気持ちになりながら俺は鑑定をやめ、口を開いた。
「コレは鑑定だけでよろしいのですか?」
「そうですね、値段と、それが何かを当てられれば信じましょう」
どこか挑戦的な笑みを浮かべながらこちらを見るリディア王女に対し、特に反応もせずに結果を報告することにした。
「ではまず値段ですが、この木像に価値は無いと思います」
「ククク、貴様は馬鹿か?この王家に価値の無いものなどあるわけが無いだろう」
「レジナム殿、少し静かに願えますかな?そしてナナシよ、その木像に価値がないという理由を説明してもらおうか?」
ニヤニヤとした笑みで俺を馬鹿にするおっさんを王様が止め、先を促してくれた。
しかしどこか怒気を感じるのをみると娘の作品を馬鹿にされたとでも思ったかな?
じゃあフォローを入れつつ説明しますか。
というかおっさん一回殴らせろ。
「はい、まず価値が無いといったのは客観的に見てという話です。この木像は、ある二人の少女が敬愛する父親を模して製作した物です。そのような、子が親のためだけに作ったそんな物に価値を付けることは私には出来ませんので。このような感じでよろしいでしょうか?作者のお二方」
成人してから分かり始めたことをつらつらと話す。
小さい頃は何でこんな下手くそな物が嬉しいんだろうと子供ながらに思ったものだが、何がどうとかじゃなくてただ純粋に嬉しいんだと、そんな気持ちを思いながら告げた。
……あれ、また空気が凍ってるんだけど。
-リディアside-
まさか完璧にバレるとは思わなかった。
あれは確かに5歳の頃、お姉さまと共に彫ったものだ。
だから普通の鑑定士には色々理由をこじつけて納得するしかないと思っていたのに、彼には本当に視えているのだろうか……。
もしそうならそんなことがありえるのだろうか……。
ぐるぐると頭の中で答えの出ない問答を繰り返していると、お姉さまが口を開いた。
-side out-
-アリシアside-
凄い、本当に凄いな!
ならば武の方はどれだけ凄いのか気になる。
もう待ちきれない、勝負を申し込もう!
そうだ!そうしよう!
「ナナシ殿!私と勝負していただきたい!」
簡潔に告げると、ナナシ殿は不敵な笑みを浮かべながら無言で頷いた。
-side out-
今、なんて言ったあの人?
勝負?何それおいしいの?
今俺は凄い引きつった顔で苦笑いしてると思う。
……はあ、自然と溜息が出る。
どう断ろうか俯いたまま考えていると、なぜか周りからどよめきが起こった。
え、何?これ強制イベントなの?
「では2時間後、中庭にて待つ!」
アリシアさーーーーん!?
ダメだあの人、完全にあれだ。脳ミソが筋肉で構成されちゃってる人だ。
「ナナシ君大丈夫か?アリシア王女の剛剣は鎧ごと切り裂くと言われているが……」
「え?」
「え?」
「何それ怖い」
洒落にならないなあ。あははははははははははははははははぁ~。
最後に一つ大きく溜息を吐くと、何やら扉の前で手招きしているリディア王女の方に歩いた。
溜息吐くと幸せが逃げる?
そもそも幸せな人は溜息吐かないよ。
…………俺生き残れるかな。
何か脳筋王女とバトルに発展。
当然強制イベントです。