いっそバラしてしまおう!
…………書くことが無い。
何か意見とかあったら気楽にどうぞ。
凍りついた空気をどうしようか内心焦りまくっていると王女様達が兜を脱ぎながら本来いるべき場所に戻り、代役の侍女の子達は逃げ出すように早足で部屋を出て行った。
二人とも違うタイプの美人さんだなぁ。
アリシア王女は綺麗な空色の髪を肩口で切りそろえていて、キリッとした顔立ちとルビーのような透き通った赤色に良く映えている。リディア王女はアリシア王女と同じく空色の髪に赤い瞳だが、長めの髪の毛を肩甲骨辺りで縛っていてメガネをかけている。
というかアリシア王女がめちゃめちゃこっち睨んでるんだけど俺なんかしたのか?
「ナナシよ。何故あの鎧騎士が娘達だと分かった?」
こっちを睨んでるアリシア王女と、観察するように見ているリディア王女に若干ビビッていたら王様があまり納得がいっていない様子で聞いてきた。
これはどうしよう……能力のことバラしてもいいかな?というかバラさないと説明ができないしな。
「嘘をつくな」とか言われたら困るけどどうしようもないし。
いっそバラせば楽になれるだろ。
「先に一つ申しますと、おそらく理由を話すと王様達には信じられないかもしれませんがよろしいですか?」
「構わん言ってみよ」
まあ、なるようになるか。
「私には『視える』のですよ」
「見えるとは?」
「言葉の通りにございます。私の眼には見たものの情報が視えるのです」
「そんな世迷言が信じられるとでも?」
横から口を挟んできたのはアリシア王女だ。
こうなることは大体予想してたけど、実際本当なんだから仕方ないじゃないか。
ちなみに、リディア王女は何か考えるように顔を少し俯けている。
「では、何か王様か王女様方しか価値の分からないような物などの鑑定して証拠になるような物を用意していただけますか?」
「本当に何でもよろしいのですか?」
「はい、何でも構いません。できれば他の鑑定士の方が鑑定できるわけがないようなものが望ましいです」
俺がそう頼むと横から今度はリディア王女が割り込んできた。
彼女の質問に対し、断る理由も無いので肯定の意を返す。
「では、少し待っててください。今から取ってきます」
そう言うとリディア王女はパタパタと小走りで部屋を出て行った。
……とりあえず空気が何か重いし、あとアリシア王女の視線がなんかうっとうしい。
なぜか獲物を狙う獣のような目をしているアリシア王女に真剣に怖いと思い始めたころに、リディア王女が戻ってきた。
「あなたに見てもらいたいのはこの品です」
そう言った彼女の手に大事そうに抱えられていたのは、不恰好な木で彫られた何か。
二足で立っているところを見ると人間だろうか、よくわからん。
「先にレジナム殿に鑑定していただきましょう。レジナム殿、お願いします」
とりあえずステータスを見ずに考えてみたけど全然分かんないと、この眼の凄さを改めて再認識しているとどうやら、鑑定士のレジナムという人がいるらしい。
周りをくるっと見回すとレジナムというおっさんを発見、48歳で国お抱えの鑑定士らしい。
「私がですかな?」
「ええ」
「もし私が正解してしまったらどうしましょう?」
「褒美をとらせます、それでよろしいでしょう?」
彼女はにやにやと嫌な笑みを浮かべるおっさんと、王様の両方に問いかける。
「そうですか、では」
おっさんはにやにやとした笑みを浮かべたまま何かを受け取り、鑑定を開始した。
「……ふむ……これは……なるほど」
などと何か色々聞こえてくるから鑑定はしてるんだろうが、あのにやついた笑みが何かムカつく。
「わかりました」
「そうですか、それでどうですか?」
「これは、かの有名な彫刻家『シルドラード・ルグリアス』の初期の初期、おそらく駆け出しのころに彫ったもの。この荒々しい削り方ですが、ルグリアスの大胆な彫りの原型を感じます。どうですかな、リディア王女?」
「違います」
リディア王女一刀両断。
なんか一生懸命に説明したのにズバッと否定したよこの人。
一応身内びいきは無いみたいで安心したけどね。
「ではレジナム殿、ナナシ殿にお渡しいただけますか?」
「ま、まあ私に分からなかった物がこの若造に分かるとも到底思えませんがね?」
すいませんおっさん、負け犬が吠えてるようにしか聞こえません。
俺を見下したような感じで押し付けるように渡してくる。
うざいな。
ちょっと負けず嫌いな心に火が着いたかもしれん。
おっさんの態度にだいぶイライラしながら、俺は木で出来た何かに集中した。
かませ犬レジナムさんが登場しました。
どうでしょうか、いつもより長い気がします。
一つ言わせてください、女王様が空気過ぎる。
まぁ喋ってないから描写してないだけなんだけどね。
次もよろしくお願いします。