ぼうけんにっき
ある夏の日に、ぼくはおもしろそうなところを見つけた。
学校からかえるとちゅうのところなんだけど、ぼくの家はとおいから、みんなが見つけれないとこなんだ。
「明日からここをひみつきちにしよう。おやつもここでたべるんだ」
つぎの日は雨だった。
同じあめならたべれるあめがふってくればいいのになぁ。
つぎの日も、またつぎの日も雨だった。
なんでまいにち雨がふってくるんだろう。
お母さんにきいたら、つゆだから、だって。
つゆって、そうめんのつゆかな。おそばのつゆかな。
なんだかおいしそう。
「雨、やまないかなぁ」
家の中にいるのはたいくつだ。
テレビゲームをぼくはもってないからね。
みんなもってるのに、お父さんはかってくれないんだ。
目がわるくなるからだめなんだって。
つぎの日はひさしぶりに晴れた。
今日こそひみつきちに行くぞ。
学校からかえってきたら、おやつをもってダンプカーとかがおいてあるひみつきちに行くんだ。
今日のおやつはなんだろう。
クッキーかな。
チョコかな。
はしってかえろう。
「ただいまー」
「おかえりー、今日はアイスとクッキーよー。手洗って食べなさい」
「うん、いってきまーす」
「どこいくのー」
アイスをたべながら、ぼくはひみつきちにはしる。
クッキーはティッシュでつつんで、ポケットに入れた。
ががが、って音がきこえてきて、ひみつきちが見えた。
「こら、ぼうず。あぶないだろ。入ってくるんじゃない」
おじちゃんにおこられた。
でも、ひみつきちなんだ。
ひみつの入り口があるんだ。
「うわぁ。すごい」
ぼくはちかくの森からひみつきちに入って、じゃりの上にのぼった。
だれにもおしえないぼくのひみつきちだ。
ダンプカーがあんなに小さい。
ショベルカーも。
こんなにたかいところなんてはじめてだ。
アイスのさいごの少しを口の中におしこんで、すわるとすごく広いお空が見えた。
「うわぁ。ひろいな。すごくあおいな」
ひこうきがお空の上をとおっていく。
かっこいいな。
ぼくもいつかはひこうきにのってみたいな。
「おーい、坊主。なにしとるんだ。そこから降りろー」
またおこられちゃった。
ここはぼくのひみつきち。
たからものをいっぱいもってこよう。
ここをたからものにしよう。
お父さんとかお母さんにはないしょだよ。
だって、ひみつきちだからね。
大きくなっても、ここはずっとひみつきち。