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ファミリーダンジョン

作者: せおぽん

子供達の夏休みももうすぐ終わり。

今日は私も休みを取って家族とTDDに行くのだ。


TDD(東京ディスティニーダンジョン)に行くのは、妻との始めてのデート以来だ。


「メグミ、夏休みの宿題は終わったか?」

「後は絵日記だけ。今日の事を書くよ」と小4の娘が笑顔で応える。

「ソウタは?」6年生の息子は、スマホ(standard magic hostの略、現代版魔法の杖)から目を逸らさないままぶっきらぼうに応えた。「終わったよ」


「昼どうする?」とレイコに聞く。「TDDの冒険者の酒場で食べようよ。タケシさん、あそこのドラゴンバーガー好きだったじゃない」


ーーーーー


「ファイアボー、ファイアボー」

「こら」と俺は火球の魔法を連発しているソウタの頭を軽く小突いた。「もう、ゴブリンは降参しているだろう? やり過ぎは駄目だ」

「ゴブリンさん。可哀想」とメグミは目に涙を溜めている。「大丈夫よ。泣かないで」とレイコはゴブリンに初歩の治癒魔法をかけながら、メグミの頭を撫でた。


ーーーーー


今、俺達家族はTDDの最下層にいる。

エレベーターの故障で、関係者以外立ち入り禁止のこの階層についてしまったのた。


対峙しているレッドドラゴンのファイアブレスによって辺りは炎の海だ。幸いにもレイコと子供達は耐火のレジャーシートに護られている。


俺の武器は、お土産に買ったプラスチック製のエクスカリバーと充電切れのスマホのみ。絶対絶命のピンチだ。


「タケシさん」レイコの声に、俺は振り向いた。

左手にスマホを手にしたレイコの右手が空中で泳ぐ。そのフリック入力が意味する魔法はエンチャントウェポンだ。


プラスチック製のエクスカリバーが青白い光を放つ。刃が通るならば、レッドドラゴンなど俺にとっては道端のトカゲと変わり無い。


ーーーーー


「お父さん。今日はありがとう」とレイコと手を繋いだソウタが俺を見て言う。メグミは疲れてしまって俺の背中で眠っている。「お父さん、お母さん。大好き」とメグミが寝言を言った。俺とレイコは2人で目配せをしニッコリと笑った。


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