不意打ち許すまじ
めちゃくちゃ警戒心の低いアホの子
監禁…?
…監禁と言ったのです?こいつ、頭おかしんじゃねぇのです?
シュォンっと音が立ったと思ったら王子の手に鎖やらなんやらじゃらじゃらしたものが乗っていました。この王子様魔法使えたんですね…、本当に相手にしちゃいけないやつなのです。
魔法ってご長寿な種族にしか習得に時間がかかるから使えないのです。使えたらめっちゃ強くて長生きってことなのです。だって肉体強化やらなんやら出来るし。かくいう私も使えるのですけどね。でも魔法が使えるということは相手の魔法も封じることができるということなのです。いやな予感がするのです。
いろんなことを考えていたら、王子様はこっちに近づいてきてたみたいです。
やべぇですこいつに逆らったらどうなるか…考えるのも嫌なのです。
「よしっ、装着完了だな」
「えっ…?……えっ!」
はっ!?こいつ人が考え事してるうちに足枷をつけやがったのです!!
不意打ち許すまじなのです!くそぉうっ!
ガンッガンッ
「…こわれねぇのです…」
「簡単に壊れたら意味がないだろう?」
……半笑いで王子様が私を眺めてきました。こいつ、きっと私のことを見ものかなんかだと思ってやがるのです。
龍体だったら壊せるのに、王子がいる前で姿を変えられないのです。
「まぁ続きは明日だな、お前はここで寝ろ」
「え?!なんであんたのベッドで寝なきゃいけないのです!?」
「俺がそばで監視した方が一番危険が少ないからだ。」
何言ってるのですこいつ、男のベッドで寝るなんて嫌です。ましてやこいつのベッドなんて。くそっ。こいつ絶対馬鹿なのです!きっとそう!
王子様を睨んで文句がぼんぼん出てきてたら、ふわっと体が浮きました。
「わっ!」
浮いたと思ったら王子様に抱っこされてたのです。王子様の腕に私のお尻が乗ってます。
思わず王子様の顔を見たら距離近くてびっくりしたのです。
意外とまつ毛が長くて鼻筋が通ってて整った容姿なのです。あとがっしりとした胸板が逞しいのです。…逞しいと思う自分が憎い…!
そしてなんでか恥ずかしくて一気に顔が熱くなったのです。
「ななななっ!なんでなのです!!おろすのです!」
そう言ってジタバタ暴れてみますがぴくりともしません。こいつ力強っ!人型だけど龍が力入れてもぴくりともしないなんでおかしいのです。
「暴れるな、ほらっさっさと傷の手当てするぞ。」
王子様は私を自分のベッドに下ろして救急箱から包帯やらガーゼやら出してきたのです。魔法では傷は治せないのです。傷の手当てをするには服が邪魔だと思うのです。ということは全身タイツを脱がないといけない、タイツの下には薄めのインナーしか履いてないのでそれになるということなのです。え、どうしようなのです。
「…上着脱げるか?俺が手当する…」
「自分でやるです。」
「無理なところを怪我してるが?」
「……絶対なのです…?」
王子様は頷いたのです。くそっ
でも怪我をそのままにしておくのはよろしくないので不本意ですが脱ぐことにするです。
今回だけなのです。
渋々私は全身タイツを脱ぎ始めました。足を拘束されていますが、被らず、履かずに着るタイプの服なので普通に脱げます。
白の薄っぺらい体にフィットする感じのインナーがところどころ裂けて、血が滲んでいるのです。ものすごく恥ずかしいのです。それに傷口が痛いし、
むっすっとした顔で王子様を見上げました。不本意なのです。誰かにを見せるなんて。
「…これでいいですか、王子様。」
「ああ…腕を出せ」
王子様の手に腕を伸ばします。傷口に消毒のワタをピンセットで消毒していきます。
「…っ…」
傷口にわたが触れるとすごくしみて痛いのです。
傷口が消毒できるとガーゼを傷口に当てて、包帯を巻いていきました。
それにしても王子様の手際がいいのです。
「…王子様は手際がいいのです…」
不機嫌にそう言ってみると王子様がふんっと鼻でため息を吐いたのです。
「慣れているからな、それとお前、俺の名前知らないのか?」
王子様の名前?知るわけないのです。そこまで興味ないのです。
「知らないのです。なんでなのです?」
「いや、俺のことを知らない奴なんて初めてだからだ。まぁいい、俺の名前はヴァルトだ、呼び方はすきにしろ」
「じゃ、ヴァルト」
私は即答したのです。様をつける義理はねぇのです。
手当が終わったようでヴァルトが部屋のウォークインクローゼットの扉を開いたのです。
うわっデッカっ……うちのよりデッカイのです。
そこからヴァルトのであろうシャツとズボンのパジャマを出してきました。
まさか…わたしに着ろというのですか?
「流石にその格好だと風邪を引くからこれを着とけ」
そう言ってやっぱりさっき出したパジャマを投げてきました。
まぁここは素直に着るのです。実を言うとちょっと寒いのです。
そしてヴァルトがベッドに登ってきたと思ったらすぐ寝始めました。
はやぁっ…
仕方ないのでパジャマを着ることにするのです。ちょっと流石にインナーを着て寝るのは暑いと思うから脱ぐのです。私のインナーは横リボンを解けば前身ごろと後ろ身ごろに分裂するのです。あんまり解いたりしないけど。
まぁ来てみました。着たはいいのです。それもズボンはありがたいことに鎖が足についてても着れる側面にボタンがある珍しいタイプ。
だけどでかい…
ボタンも全部閉めたのです。でもヴァルトが結構ガタイがいいみたいなので襟はもはや襟じゃなく、肩見えるのです。それにズボンは立ったら多分ずり落ちるのです。
もういいのです。寝るです。もう吹っ切れました。どうせなんで一緒に寝るんだって聞いてもベッドが一つしかないからとか言われるのです。めんどいのです。
もういい、寝るです。
私はボフンと横たわって縮こまって目を瞑ったのです。キングサイズベッドなので2人で寝ても余裕があったのです。
明日は目が覚めたら部屋のベッドの上であることを願うのです。
でも…ほんとうに……これが…夢だと…いいの…です…が……
そう思いながら私は船を漕ぎ始めました。
王子の名前が判明したよっ、ヴァルトくんだよっ
普通さ、知らんやつと寝るってなったら寝れなくないかい?と思うお話ですね