なんで無傷?
久々のルーシェちゃん視点
フシュゥッと残った凍つく息が口の端から出ました。
冷気で周りが見えません。
それに思いっきり冷気吐いたのは久しぶりで、涼しくて楽しいのです。
部屋は氷漬け、……こりゃ色々大変なのです。まっ、やったのは私ですが…
ヴァルトとラヴァはどうなったのでしょうか?見当たりません
まぁ死んでも喧嘩売った奴と殺せと言われてた奴なのでそこまで気にしてないのです。
帰ろうと思うのです。うーーーん…?あれ?龍化できない?なんでなのです?もしやこの足枷の所為?なんてもんつけてくれてるのですヴァルトは…
翼は出せるのでしょうか?やってみましょ、うぅーーん!
あ、破れちゃったのです。でも翼は出せたのです。何が無理で何がいけるんでしょう?
うーん、服はもうどうせ着替えるので諦めるのです
「っ!」
父様の気配が弱くなりました。
あのブ男め…!
よし、帰るのです。さっさと早く帰ってブ男を殺さないと父様が……
私はバルコニーに出て翼を広げました。
「おい…!」
「っ?!…」
だれかが私の右手を掴みました。
振り向けば無傷なヴァルトだったのです。
…どうしてっ、どうして死んでないのです?!
「な、なんで生きてるのです?!なんで…?」
「危ないだろ!突然あんなことするなんて!」
「…あ、あのラヴァとかいう奴が私のこと魔族とか言うから悪いのです!そして手を離せなのです!」
ヴァルトの手を振り払おうと腕を振ったけど全然振り解けないのです。
人型でも人間よりはすごい力強いはずなのに…こいつ本当に馬鹿力なのです。
急いで帰らなきゃ行けないのに!
焦りながら私はヴァルトを見上げました。
えっ…なんでなのです。なんでそんな私のことを心配そうに見るのでしょうか。
ヴァルトは目で見てわかるくらい心配そうに眉を寄せていました。
なんで…?
「…お、お願いだから離すのです!そして大人しく私に殺されるのです!…じゃないと…じゃないと父様が……父様がころされちゃうのです……父様が殺されたら母様も姉様もみんなころされちゃうのです!」
父様が殺されるかもしれない、家族がころされるかもしれない。
そう言えば、より不安になって涙が出てきたのです。
私以外の家族が殺されて私だけ生きてるなんてそんなの…そんなの耐えられないのです。まだリヴェも、リヴァも小さいのに…
「泣くな、分かったから。」
ヴァルトは私の頭を優しく撫でて慰めてくれます。
その手があったかくて、心地よくて目を瞑りました。
「んっ、…父様の気配がっ、父様きっと力吸われたのです、いつもあのブ男は私たちを殺すって脅して父様に、命令を聞かせてたのです…」
ぐすんぐすんしながらゆっくり言えばヴァルトはゆっくり頷きながらきちんと聞いてくれたのです。
「あぁ、知っている。父上とお前の両親。そして大臣たちと計画していたことだ。」
まさか知ってるとは思わず、目を見開いてぱちくりしてしまったのです。
「計画…?」
「お前を俺を暗殺する名目で王城に来させることがな」
んまぁ…私は…騙されたのですかね?
でもブ男は普通にその命令出したのです。阿保なのですねぇ。
父様の力が吸われたのも計画の内でしょうか?
ふとヴァルトが私の両肩に手を置きました。
「よし、まずお前にやってもらわなければならないことがある。」
「なんですか?」
「俺の部屋を戻してくれ…」
ああ、うん、そうなのです。
私、凍らせたままなのです…
なんか、めちゃくちゃ適当になっちゃってる気がします。