【Turn 悪鬼】4.
「……は?」
何を言っているんだ、とむぅなは思った。
「デスゲームって知ってて参加したんですか?」
「そうだが?」
Qは淡々と答える。
むぅなにはそれがさっぱりわからなかった。
「……なぜ?」
「勝つためと言っただろう?」
むぅなはため息をついた。この人のことはよくわからないと結論付けた。
「僕はこのゲームに参加するためになったんだ、Vtuberにな」
「ちょっと言っていることが理解できないんですけど。というか、どうしてこのゲームのことを知っていたんですか?」
「……参加者は配信を開始するか否かの確認がされる。開始した参加者の配信にはたくさんの視聴者がいる。」
そういうことか、とむぅなは知った。
「僕はその配信を見た。そして、このゲームに出たら今以上に強くなれると思ったんだ。」
「はぁ……。」
むぅなはそう答えているが、実際考えたことは、Qがよくわからない奴だという再認識だ。
これぞ真の強靭。むぅなはQのことをそう捉えた。
「ほら、行くぞ。四日間で三人以外死ななかったらポイントが少ない奴から順に処刑だ。」
どうせ狂人は死なないだろうよ、とむぅなは思う。
だけどそれは言わなかった。
さすがにそれぐらいの常識はむぅなにはある。
「……早く。」
むぅなは再びのため息をついた。
Qの後をついていった。
「そうだなぁ、基本は君が仕留めるといい。君にはその才能がある。」
「才能、才能って……。そんな物騒な才能この世界にいらないですよ。」
「今に限ってはとても輝かしい才能だ。それを存分に発揮したらいい。」
むぅなは三度目のため息をつく。
「……わかりましたよ。」
どうせ殺らなきゃ生きられない。ラッキーだと思おう。とむぅなは自分に言い聞かせる。
本音を言えば、むぅなは恐怖を感じていた。
簡単に人を殺せと言っているが、そう殺せるものでもない。まして、同じように騙された人たちを撃つだなんて。むぅなはそう感じている。
「参加者が多いっていいなぁ……。ほら、むぅな君。早速敵が来たではないか。やってみるといい……。」
Qはうっとりとしたかのような笑みを浮かべる。
むぅなの頭はグルグルとしていた。…………いろいろな意味で。




