【Turn 悪鬼】???.
「みなさんこんにちは~。冷たい風にも温もりを。凩むぅなでーす。本日はわたしの配信に来てくれてありがとー!」
むぅなは画面の前で手を振って笑顔をつくる。
コメント欄には『こんにちは~。』という文が音速のように流れていた。
LAST CHANCE GAME終了からしばらく経ち、むぅなは順風満帆なVtuber生活を送っていた。
生活が困難な状態であったゲーム開始前とは打って変わり、今や人気Vtuberとして世界でも活躍している。
「今日は前に回答してくれたみんなの質問に答えていくよー。」
早速質問箱を開き、質問を読んでいく。
(全部拾えなくて申し訳ないなぁ。)
そう思いながら、自分が気になって選んだものを一個一個答えていく。
「じゃあ次に行こうか。」
『いつも配信見ています。むぅなさんの配信を見て、どうしてこんなにも面白くて、楽しい配信ができるんだろうって思います。
実は、わたしもVtuberをしています。だけど全然有名になれなくて……。生活まで困難になりそうです。もうこの夢は諦めた方がいいのでしょうか……。また、どうすれば有名になれますか?』
むぅながそのコメントを読んだ途端に、大量のコメントが走った。
『ヤバッ、むぅな通して有名になりたいだけじゃん。』
『有名Vを通して人気になろうとするの害悪すぎる。』
彼か彼女かわからないが、その子を否定するコメントが相次ぐ。
「はい、ストーップ。たとえわたしと同業だからってファンを否定するのはやめてよねー。」
彼か彼女かはわからないが、そのコメントは昔のむぅな――いや、七海だった。
ライブでの視聴者が少なくて、『今日もダメだったか……』と苦しんでいた時代。
そんなこともあったなぁと思いだす。
「わたしも最初はそうだったんだよね。人気が出なくて、学校も上手くいかずにやめちゃったから、『もうダメだー。』って絶望しながら毎回配信してた。
けど、チャンスは巡ってくるはず。わたしはLAST CHANCEだったけど、もっと平和な奇跡が来てほしいって思う。命を賭けてでも人気を取る覚悟があるなら、出てもいいと思うけど……。」
そこでむぅなは口を閉じた。
βと戦い、その後命を散らしたQ。
人の視線を見て取り、結構ギリギリな勝負をした鬼羅。
大量の参加者を配下にし、絶対的有利な状況を作り出した冥王と水星。
兄に隠れながらも自分たちの精一杯を出した夜雲と月雲。
そして、最後までむぅなに「悪魔」として纏わりついた堕蜘斗。
たくさんの人と出会った。その分、たくさんの人が死んだ。
今のわたしは、その屍を踏んで世界的に有名になっている。
これ以上、参加者を増やしてはいけない。
綺麗事なのはわかってる。でも、言わざるを得なかった。
「……きっと誰かは、あなたを認めてくれる。だからその日まで、信じて続けてみてほしいな。」
そこで、私は終わりにした。大きく息を吸う。
ピンポーン。
と、そこでチャイムが鳴った。
「あ、ちょっと宅配。少し落ちるねー。」
何か頼んだかなぁ、と思いながら、むぅな――七海は家のドアを開ける。
そこには男の子が立っていた。
年齢は中学生ほどで、真っ黒な服装をしている。
「えっと、誰。ですか?」
七海はその男の子に声をかけた。
「……やっと見つけたぞ。凩むぅな、いや、『佐藤七海』。」
七海は息を呑んだ。
彼が七海の名前もむぅなの名前も知っていたからだ。
「……これで、あのときの復讐ができる。」
この言葉で、目の前の少年が誰なのかがわかった。
「堕蜘斗⁉ なんでここに……⁉」
「あのときのゲームの配信を見た。愚かだな。配信中に本名を教えるなんて。」
そこで、むぅなは思い出す。
Qと出会ったときのことを。
「嘘でしょ……⁉」
「あぁ、本当だ。日葵と日陽のこと、絶対に許しはしない……‼」
その瞬間、今までに感じたことのない痛みが全身を駆け巡った。
「……っ!」
七海はその痛みの元を見つける。腹部に包丁が刺さっている。
堕蜘斗――少年は包丁を抜いた。血が大量にあふれてくる。
七海はただ倒れて目を閉じることしかできなかった。
Vtuber。いや、SNSで大事なのは、有名になることでも、愛されることでもない。
個人情報を漏らさないよう、万全の注意を払うことだ。
この度は、『LAST CHANCE GAME.』を開いてくださり、本当にありがとうございました!
今作は私、「どこぞの悪鬼」と「kinsei」のリレー合作となっております。
いつも通りデスゲームで始めたんですけど、好みのキャラが多すぎてkinseiのTurnになると基本「ありがとう」とか騒ぎながら投稿していました(笑)誰かとやる機会もそうそうないのでとても楽しかったです!
さて、感想が私だけというのも何かおかしいので、kinseiからも作品を書いた感想をいただきました。
デスゲーム系の物語は、戦闘シーンが多いので書こうと思ってなかったんですけど、書いているうちに、あれ、なんか楽しいぞ?と思えたので、凄くいい機会でした。ありがとうございました。
……とのことだそうです。本当に合作を受け入れてくれてありがとうございます‼
面白かった方は☆5評価、読み返せるようブクマ登録してくださると幸いです。
改めて、この度は今作を開いてくださり、誠にありがとうございました!




