【Turn kinsei】37.
そう、終わらなかったのだ。
つまり、今の生存者は、堕蜘斗、むぅな、月雲の三名の他に、まだいるとゆうことである。
「むぅな、…むぅなぁ!…貴様ぁ!…よくも……よくも陽葵をぉぉ!」
堕蜘斗の目からはいつのまにか涙が流れていた。
だが、その涙は通常の涙なんかではなかった。
赤かったのだ。
堕蜘斗は、血の涙を流していたのだ。自分の妹が死んでしまったことに対する悲しみや、その妹を殺した張本人のむぅなに対する怒りなどの様々な感情が混ざり合ってできた復讐の感情が堕蜘斗に流させた、血の涙である。
「許さん、……許さんぞぉぉお!…凩ぃぃ…むぅなぁ!…貴様はぁ…貴様だけはぁ!…必ず殺す!…たとえ、…たとえ、俺のこの命が尽きようとも!」
そう言い、堕蜘斗は、まだ少し混乱しているむぅなに向かって、三発、発砲した。
むぅなは、回避が少し遅れてしまい、一発、弾丸が右脚にめり込んだ。
「…っ!」
再び堕蜘斗はむぅなに向けて一発、発砲した。
今度は遅れることはなく、その一発を避けた。
むぅなは、回避しながら、考え事をしていた。
(星野姉妹はどちらも死んだはずだし、そのチームも全員殺した。…となると、考えられるのは、他の階にまだ潜んでいるのか?)
堕蜘斗はその間も、むぅなに向かって発砲し続けていた。
「だぁあ!もう!…考えるのは一旦やめ!…とにかく堕蜘斗をどうにかしないと真実に辿り着く前に殺される。」
「凩むぅなぁあ!…貴様を冥府に送ってやる!」
「冥府に送るって、お前は鬼かなにかか?」
「鬼ぃぃ?…違うな、俺は、………貴様を喰らう悪魔だ。」
そのときの堕蜘斗はひどく落ち着いていた。
妹を目の前で殺されたにも関わらず、落ち着いていた。
「俺は思ったのだ。貴様を、凩むぅなを殺さなければ、妹に合わせる顔がないでわないかと。だから俺は決めたのだ。…貴様を殺し、…復讐を果たし、家を支えると。…今あるものを全力で守ると。」
「そのために復讐が必要?」
「必要に決まっているだろう?」
「そんなことより家を支える方が大事なんじゃない?」
「世間じゃあ復讐はなにも生まないだのなにも得られないだの、そんな綺麗事を吐く奴が星の数ほどいるが、…馬鹿か?そいつらは。…復讐ってゆうのはな、未来に進むために乗り越えなくちゃいけない壁を乗り越えることを言うんだ。復讐から得ることができるのはのは未来へと進むための道導だ。」




