【Turn 明星】35.
むぅなと堕蜘斗は互いに相手の胸に銃口を向け、銃のトリガーに指をかけた。
先に動いたのはむぅなだった。
むぅなは銃のトリガーを引いた。
だが、堕蜘斗は右に避け、むぅなの右頬を殴った。
「…っ!!」
むぅなは殴られた反動で、後ろにのけぞった。
「ふん、その程度か?…凩むぅな。」
むぅなはのけぞった身体を戻すと同時に堕蜘斗の顔目掛けて頭突きをした。
「…っ!?」
頭突きされた堕蜘斗の鼻から血が出てきた。
そして、追い打ちをかけるように、堕蜘斗の右頬を殴った。
「…っ!」
堕蜘斗は後ろに倒れた。
「そっちこそ…あんだけラスボスっぽい登場しときながらこの程度?」
むぅなは銃口を堕蜘斗の額に向けて、一発撃った。
だが、堕蜘斗は瞬時に避けて、立ち上がった。
「はぁはぁ、凩…むぅなぁ。…俺はぁ、貴様を殺してぇ…妹を…家族を守るのだぁあ!」
堕蜘斗はむぅなに銃口を向け、三発撃った。
むぅなは避けなかった。避けれなかったとか、諦めたとか、そうゆうことではなく、避ける必要がなかったのである。
堕蜘斗が撃った銃弾はむぅなの身体に当たることなく、後ろの壁に当たった。
むぅなは堕蜘斗に接近して、堕蜘斗の鳩尾を殴った。
「…ぐっ!?」
堕蜘斗は鳩尾を抑えて悶えた。
そして、むぅなは、悶える堕蜘斗の頭を蹴った。
そのとき、むぅなは違和感を覚えた。
(なぜ堕蜘斗は、あのパンチを防げなかったんだ?接近した際、堕蜘斗の視界に私の姿は映っていたはずなのに。…まさか。)
「はぁはぁ、貴様ぁ!もう許さんぞ!」
「堕蜘斗…もしかしてあんた、…目が見えてないんじゃ。」
「…っ!?………いつからだ、いつから気づいていたんだ。」
「さっき、あんたが私の攻撃を防げなかった時にもしかしてって思ってね。」
「だからどうした?」
「?」
「たかがそんなこととこの戦いになんの関係もないだろう?…ましてや、そちらにとっては好都合のはずだが?」
堕蜘斗はむぅなに銃口を向けた。
「さぁ、続けるぞ。」
そのとき、この部屋の扉が開いた。
「「!?」」
すると、二人の少女が入ってきた。
「お兄…ちゃん?」




