【Turn 明星】27.
むぅなは五発、撃つことができた。
そのうち、当たった弾が何発かは、わからなかった。
なぜなら、人数が多すぎて誰が撃った弾が、誰に当たったのかがまったく分からなかったからである。
「ふぁあ、姉様、暇ですね。」
「そうね妹。でも、私達はまだ戦っちゃダメなのよ。」
「わかってるわ。姉様。」
「それにしても、凩むぅなちゃんねぇ。結構頑張るじゃない。」
なんと奇跡的に、むぅなの身体にはまだ一発も当たっていなかった。
「おい!お前ら!ちゃんと狙え!」
「狙ってるわ!」
「お前こそ一発でも当てたらどうだ!」
「そうゆうお前だって当ててねぇだろ!」
むぅなは懐からナイフを取り出した。
そして、言い争ってむぅなにまったく集中していない人に近づき、一人、また一人と少しずつ数を減らしていった。
「…!?…なるほど、むぅなちゃんはあれが使えるのね。」
「…?あれってなんです?姉様。」
「妹、教えてあげるわ。意図してやっているかは知らないけど、彼女はね、ミスディレクションとゆうものが使えるの。」
「ミスディレクション?姉様、それってなんなんです?」
「ミスディレクションとゆうものはね、注意を意図していない別の場所に向かせるテクニックのことよ。………彼女は、そのミスディレクションを使って、自分の身体に当たらないようにしてるのよ。」
「姉様、姉様、話がちょっと長くて分かりにくかったです。」
二人の会話は、少しの間沈黙に包まれた。
「妹よ。」
「なぁに?姉様。」
「まぁいいわ。むぅなをよく見てなさい。」
「はぁい、姉様。」
いまだに、むぅなはダメージを負っていなかった。
(このチーム、どうやって今まで生き残ってきたんだろう。まったく弾が当たる気配がしない。)
「はぁはぁ、くそっ!あたらねぇ!」
「どうなってんのよ!こいつ!」
「狙って撃っても違うところに弾が飛んでいっちゃう。」
星野チームのほとんどが息切れしていた。




