【Turn 悪鬼】26.
むぅなは不思議に思っていた。
どうして、こんなに大量の参加者を率いているのか。
彼女らは総勢七十二人のチームだと言っていたが、生き残れる参加者はたった三人。
このチームのほとんどが死ぬことになる。
だったら候補は二つ。
一つ、そもそも生かすつもりはなく、戦闘で負けた参加者を殺さずに配下にした。
二つ、仲間として引き連れて、あとで簡単にポイントになるよう育てている。
どちらにせよ言えることは、星野姉妹は仲間を見殺しにするつもりだということだった。
そんな卑怯なやり方、本当に嫌いだ。
銃声が聞こえる。
一つ、二つ。……いや、それどころじゃない。
むぅなは嫌な予感がした。
もしや、全員…………?
どうしよう、これはさすがに避けきれない。
完全に数の暴力だ。
むぅなはすぐにしゃがみ込んだ。
『鬼羅龍は視線で集中している場所を読み取れた』。
むぅなにその特殊能力はない。
けど、彼ならどうするかなら、考えることができるはずだ。
「おいっ! 誰だよ‼ 俺に銃を向けたのは⁉」
「知らないに決まってんだろ! どうせあたしたちは死ぬんだから、関係ねぇだろ‼」
一人の男が倒れる。
彼からはもう頻繁に見た鮮血が腹から垂れているのがわかった。
人数が変わってもポイントの数が減ったわけではない。むしろポイントが一つ増えたぐらいだ。
相手の人数は七十一。だが、星野姉妹は何も感じていないだろう。
むぅなは弾切れになるまで銃を撃ち続けた。
こんなに人数がいるのなら、絶対にだれかには当たるはずだ。




