【Turn 悪鬼】14.
むぅなは遅めの昼食を取っていた。
食欲は次第に回復していったからだ。
レストランは予想通り最上階にあった。
本当はもう少し早く来るはずだったのにな、と思いながらカルボナーラを口にする。
たまに人がレストランにやって来るのだが、その度にむぅなは狙ってくる参加者を撃ってついでにポイントを稼いでいた。
「……ごちそうさまでした。」
むぅなはレストランを出て歩き始める。
むぅなは思った。
そういえば自分の部屋はどこだったっけ……? と。
まあいい。後で考えればいいと彼女は結論付けた。
そこで、新たに放送が入る。
案の定、それはΩからだった。
『新たなルールを追加しよう。一日三回。十分間、上位三名から通知音を鳴らす。大金持ちを見つけるのが簡単になるだろう? ちなみに一回目は――今だ。』
その瞬間。
鳥が危険を感じて鳴くような、恐ろしいものを見たときの声にならない叫び声を間近で聞いていたかのような甲高い音が鳴り響いた。
「……っ! うるさ……‼」
むぅなはそう思う。
ただ、一つの事実も悟った。
――――まだ、生存圏内に自分自身がいるということに。
「……いたぞ!!!」
人はぞろぞろとむぅなに集まっていく。
当たり前だ。強盗やひったくりと同じ考えだ。
むぅなは大きく息を吸った。どうやら、戦わないといけないという事実が立証されてしまったらしい。
一人の女がむぅなに向かって銃を構えていた。だから先に頭部に撃ってやった。
一人の男がむぅなに向かって竹刀のような剣で襲い掛かって来た。腹部に撃った。あとで頭部にも撃とうと思う。
一人の男がむぅなに向かって足を撃とうとした。なんとなく両腕に撃った。もうこれで参加者を殺すことはできないだろう。
三人目を仕留めたと同時に、一人の中性的な子が後ろから包丁を持って突っ込んできたのがわかった。急いで背中を向いて後ろに下がり、その頭を撃った。
これで、第一ラウンドは終了。
むぅなは大きく息を吐いた。
さて、この音とはいつまで共にいたらいいのだろうか。
むぅなはそう考えながら銃弾を装填した。




