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LAST CHANCE GAME.  作者: どこぞの悪鬼&Kinsei
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【Turn 悪鬼】12.

 むぅなは屋上でしゃがみ込んだ。

 もう、彼女に食欲なんて一切ない。

 彼女は今、目の前にある光景が信じられていなかった。

 むぅなは現状第二位だそうだ。生存圏内に入っている。

 しかし、喜ぶことはできなかった。

 そのポイントも、ほとんどはQのものだ。

 むぅなが殺した彼の――。

 今のQは全身ボロボロのまま、幸せそうに眠っている。

 あの狂人が眠っているこの光景が考えられなかった。

「……いた、凩むぅなだ‼」

 だが、悲しんでいる暇もない。

 むぅなは男の額に銃弾を撃ち込む。

 その男は力なく倒れこんだ。

 むぅなはため息をつく。

『僕の役割は…おそらくここまでだ。…むぅな君の才能を…見出すことが僕の役割だったんだと…僕は思う。』

 最期のQの言葉。

 むぅなは考えていた。――自分にそんな才能なんてあるのか、と。

『才能、才能って……。そんな物騒な才能この世界にいらないですよ。』

 むぅな自身が放った言葉だ。

『今に限ってはとても輝かしい才能だ。それを存分に発揮したらいい。』

 彼はそう、静かに言っていた。

 あのときは、正直呆れた気持ちで埋め尽くされていた。

 この人は本当に頭が狂ってる。ずっとそう思っていたのに、今は違った。

 いや、今になったからこそだった。

 むぅなは再びため息をつく。

 そうだ。「今に限って」かもしれないが、自分にはその才能があると言ってくれたベテランがいた。

 自分の良さを見つけることが役割だったと言ってくれた人がいた。

 だから――――。

 むぅなは立ち上がる。

 再び屋上に人が現れたので、腹部を撃った。反撃されることはないだろう。

 むぅなは幸せそうな表情を浮かべた彼を見る。

 今になっても信じられない。

 でも、それが運命が下した答えだから。

「Q、ありがとう。」

 たった一日だけだけれど。あなたと出会えて本当によかった。

 返事は一切ない。

「――じゃあね。」

 むぅなは必死に笑みを作った。

 不思議と涙がこぼれていた。

 むぅなは歩き出す。

 運命の分かれ道は、まだまだたくさんあるのだから。

 一つの銃声が響いた。

 それは参加者を殺したことと、むぅなが再び歩き出した合図だった。

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