04 私と男装と雪組
小学生6年生時代
「付き合ってください!」
「あの私女ですよ?」
私はどうしてか、クラスの女の子に体育館裏に呼び出された。
人に言いにくい恋の相談か?などと勘ぐりした私を誰が責められよう。
「あの、女同士でしょ?」
「それでも比雌ちゃんがかっこよくて、私好きになちゃって」
“かっこいい”私はよくそういわれる。
親戚からも会うたび“会うたびかっこよくなるね”などといわれる。
「でも…ごめん。」
それが小学生のときの大きな思い出である。
中学生時代。
告白される回数が増えた。
「桜~、助けて~」
「どった?」
「女からしかモテないんだけど…」
「あ~そういえば、この前も女の先輩に呼び出しくらってたね。」
「まぁ…あれもそうだけど…」
数週間前、
私は桜と友達になった。
そして、先輩の呼び出しで体育館裏に行ったとき、
「まてぃ!」
体育館の上に一人の影。
「天よ地よ水よ火よ!」
「なんだテメェ!」
たまらず先輩はその人物にどなりつけた。
「貴様らに名乗る名はない!!!」
そして、先輩にとび蹴り。
あとから聞いたら、喝上げかと思ったらしい。
それで救助にきたようだ。
「あれはまずかったね。お礼参りにこられちゃったよ♪」
「だろうな。おっと」
最近油断すると男口調になる。
これも私って本当は男なんじゃないかって馬鹿みたいなことを考えたせいだ。
「はぁ…」
「まぁ元気だしなよ」
桜が手渡したのは、チケットであった。
「何これ?」
「雪組歌劇団。」
「いや何それ?」
「男装して歌って踊るミュージカルのようなもんのチケット。うちこの日いけないからあげる。」
「う~ん、わかった。貰っておく。」
雪組の舞台をみにいった。
正直最初は興味はなく、暇潰し程度に観ていた。
たが、彼らの男装姿を私はかっこいいと思っていた。
私は、今までかっこいいと言われて嫌な気分はしなかった。
彼らの演技を観て、正しいかは関係ない、後押しされた気分になり、自分を思い
っきり出すことにした。
私は家に帰るなり、買ってきたメイク道具、カツラ、服を計画通り来てみた。
(ビジュアル系…もどき…かな?)
私は男装した。
(けっこうイケてる?)
私は家を出て、街を歩いた。
バレたら一生の恥じになるとは考えていなかった。
それ以上に、今の私を試したい気持ちが先にあった。
街に出たら、バレるどころか、遠くで女子高生が私のことを噂していたのが聞こ
えた。
「あれ、ちょーやばくない!?」
「声かけなよぉー」
私の男装は成功したようだ。
この一件で、私は、男装して街に出かける趣味を持ってしまった。