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03 僕と女装と学園祭

僕が女装に趣味を持ったのには理由があった。


あれは、去年、つまり一年生の文化祭…



僕はクラス内で、出し物を決めていた


「っということで、メイド喫茶をやります。」


男子からは歓喜の声。

女子からは文句の声が聞こえていた。


文化祭の出し物の候補が複数あったので、投票という手段で決めていた。

そこで、密かに男子はメールでメイド喫茶に票を入れるよう皆に言ってた。


僕のクラスは男子の方がわずかに多い。


そのこともあり、あっという間にメイド喫茶をやることに決まった。


「男子グルになったでしょ!」


メイド喫茶の票と男子の数が一致してることから、女性の一人がカラクリを見破

り抗議してきた。


男子としては、女子メインのこの企画のため、極力対立は避けたい。


そこで、当時も同じくクラスだった矢部が立ち上がった。


「まぁまぁ、女子諸君。俺から提案がある。ちょっとこちらへ…」


矢部はクラスの女子を教室から連れ出した。


そして一分後


「仕方ないわね。メイン喫茶を認めていいわ!ただし矢部の言った交換条件を果

たすことが前提よ!」


ちなみに今話したのは、女子の代表格にあたる佐々木翔子“E”カップ。


「男に二言はない!任せておけ!」


男子は矢部が何を条件に女子を納得させたのか、誰にもわからなかった。




「つーわけで、上条ちゃん。女装してくり♪」

「はあぁ!?」


矢部に非常階段に呼び出され、何の話しかと思ったら、女装の頼みだった。


「冗談じゃない!どうして僕が!?」

「安心しろ。俺も中嶋も女装する。」


そこで、気づいた。

矢部が女子に何を言ったのか。


「矢部…。お前はこれを条件に出したのか?」

「やん♪ばれちゃった?」

「ふっっっざけんな!!」


こんな理不尽あるかとばかりに怒鳴った。


「人の身体と心を何勝手に提供してんだよ!」

「だってよ~翔子ちゃんEカップのメイド姿を見るには必要な犠牲なんだよ。」


僕は不意にも佐々木のメイド姿を想像して生唾を飲んだ。


「いや、だからって!」

「なぁ?上条。お前は俺にドデカイ借りがあったよな?」


矢部は急に鋭い目付きになった。


「中学の卒業試験。勉強教えたのは誰だっけ?」

「うっ!」


卒業試験は一定以上の点数をとらないと雲の上学園高等部に進学できないテスト

である。

当時、僕は成績のよかった矢部に勉強を教えてもらい、ギリギリ一定点数をとれ

た。


それを出されると、頭が上がらない。


「わ、わかったよ。やればいいんだろ。」


しぶしぶ了承してしまった。

まぁ矢部も中嶋もやるのだから、マシと言えばマシであろうか。




そして、文化祭当日

「キャー!!わかいい~!」


僕のカツラ付きの衣装は好評価だった。


「中嶋~、なんでアイツだけ女に人気なんだ?」

「知るか。それとお前は文化祭終わったら、後夜祭の生け贄にする。」



僕はそのまま、文化祭で接客をした。

元々僕は声が高いこともあって、女装してることはバレなかった。

中嶋と矢部は色物メイドとして見られていた。



「休憩に行っていいよ。せっかくだから、女装したまま行けば?」


佐々木が、休憩の時間をくれた。

僕も接客をしていたら、自分の女装が次第に楽しくなってきたため、遊び感覚で

、休憩中も女装していた。

中嶋と休憩が重なったので、二人でぶらりと出し物見学をした。



「中嶋が女連れで歩いてるぞ!」

「あのかわいい子誰だ!?」


どうやら僕と中嶋はカップルに見えるらしい。


「中嶋か?」


目の前には“不良”で有名な西園寺七海がいた。


「よお、西園寺。」

「彼女いたのか?」


ここで、中嶋は違うと言えただろう。しかし…


「彼女だ。」

「っ!?」


僕はあまりの衝撃にポカポカ叩く。

端から見たら、その光景はいちゃついてるように見えたのだろう。

西園寺は舌打ちし、歩いていった。


「何言ってんの!?」

「文化祭限定のジョークだ。」


実は、この時、満更でもない気分だった。




こうして、文化祭は終わった。

帰り際、佐々木からメイド服とカツラ色違い茶髪をもらった。


僕は、文化祭で“あるいけない感情”が芽生え始めていた。


家で女装した自分を見た。


(か…かわいいかな?)


笑顔で、クルクル回る。


そして、手が器用な僕は、簡単な服を作った。

女物を。


(…)

(彼女…かぁ…)

(これで街に出たら…)


こうして、僕は



週に数回帰ったら、女装して街を歩く



女装に目覚めた。



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