02 僕と彼女の関係
雲の上学園。
ここは超がつくほどのお金持ち学校でもあり、超エリート高校。
学校敷地は迷子になるくらい広く、高校中学小学校が全て隣接した場所である。
その高等部の2年G組にて…
「なあ上条」
坊主に眼鏡をかけた男が問いかけた。
それに男は反応する。
「何?」
「お前声変わりしないの?」
「うっさいな!ほっとけ!」
男の声は通常の男性よりも高く、アルト・ソプラノで歌えるのではないかというくらい高い。
「あ、それとホイ。」
「これは…」
坊主が出したのは、手紙であった。
「上条宛てに先輩からお誘いのお手紙♪」
“上条”は肩を落とした。
「だからさ、矢部さ、何でお前はいつも僕の郵便ポストになってるんだよ?」
「だってさ、お前かわいいとかで、先輩から受けがいいからよくラブレターとかお誘い受けるだろ?おれがその仲介となって、その人とお近づきになる!正に頭脳プレイ!」
「僕を餌にして…。だいだい僕は!」
上条は何かを言おうとすると、教室のドアが開かれ、上条の名前が呼ばれた。
「ん?」
ドアで上条を呼んでいたのは、かわいいより綺麗。綺麗よりかっこいいと言える容姿をした女性であった。
「上条、ちょっと来て。」
「下緒。わかった。じゃあ、矢部。断っといて」
「ヒューヒュー、彼女のご到着!」
この上条と下緒は恋人同士であった。
かわいいと言われる、上条。
かっこいいと言われる、下緒。
このベクトルが逆カップルは校内でも有名であった。
「ねぇ上条。」
この下緒は声のトーンも低く、同姓からラブレターなどを貰うこともしばしば。
「ちょっと付き合って。」
「どうしたんだよ?」
「私が付き合っている人がいるって説明してもなっとくしてくれない人がいるからさ。」
どうやら上条が恋人であることを見せ、あきらめてもらいたいらしい。
別にこれが初めてのことではないので承諾した。
下緒が案内すると、途中
「いた!」
「あ、ごめん!」
上条は女の子と衝突した。
東海林桜であった。
「東海林か。」
「お、上条!識見なかった?」
「中嶋か?」
「そうそう!あの馬鹿うちのサボりを茜さんにチクって!」
桜をよく見ると、ほっぺたがはれていた。
「上条。昼休み終わる。」
「ああ。悪い。東海林、中嶋は見てないぜ。」
「サンクス!」
話が終わり、上条は下緒と歩き出す。
下緒を見ると、特に女と話していても興味がなさそうな感じであった。
上条が女子と話していても、これといって嫉妬などをしないのはいつものことである。
それは上条も同じであるが。
非常階段
「三島さん。」
下緒が女子に声をかける。
「あ、下緒さん。あの…」
「さっきの話、私の彼氏の上条。」
紹介されて、とりあえず軽く会釈する。
「…本当に彼氏なんですか?」
三島は目がマジであった。
「ああ、下緒は僕の彼女だ。」
「…信じられない。私は本気で下緒さんを…」
「じゃ、そういうわけだから、上条、いこう」
下緒は冷たく接した。
三島は泣いてはいなかったが、下を向いていた。
(やれやれ。)
よくあることだ。
逆のときだってある。
先輩に告白されて、下緒を連れて行ってあきらめさせる。
いつの日からか、僕と下緒はお互いその為に付き合うようになってしまっていた。
そもそも付き合い始めたきっかけは…三ヶ月前
「よし、このスゴロクで負けたら罰ゲームな!」
上条はクラスでありがちな罰ゲーム付きのゲームをしていた。
そして、その時運悪く、上条が負けた。
「では、上条よ。わしの変わりにオナゴに告白を!」
「浦島は振られまくりだから、たまには人が振られるのを見たいってことだな」
冷静に識が分析する。
「では…あのオナゴじゃあ!ツンツンしとるからきっと振られるじゃろうて!」
指名したのは下緒だった。
その5分前
「じゃあ、この勝負に負けたら付き合ってくださいって告白ね!」
ということで下緒も適当に告白する相手を探していた。
(アイツは…たしか上条?あいつでいいか。彼女いるだろうし。)
二人は目が合い、
「「付き合ってください。」」
((へ!?))
周りに人もいたため、そのまま周囲公認のカップルとなった。
そして帰りも別々であった。
上条家
(ふう。さて、)
上条は家に帰るなり、時計を見た。
時刻は昼3時。
今から出かけるのか、服を着替え始めた。
「ふんふふ~ん♪」
着替え始めた。
言い忘れていたが、上条雄介には変わった趣味があった。
女装である
続く。