【0話】プロローグ
ーー神
それは天地を支配する不思議な力を持つもので人知を超越した存在であると言われている。
神はどこの世界でも宗教的信仰の対象者として畏れ、尊ばれてきた。例えば、どこかの国の無名の者が「神の言葉を聞く者」として民衆の支持を仰ぎ為政者として権力を持ったという例もあったように。
「俺の世界の言葉で『神』の意味を調べてみたけれども、随分と大層なことが書かれているものだな。フッ…馬鹿馬鹿しい。」
ルイスはそう言って自嘲気味笑った。
彼は《世界》ゼファートの創造主であり、管理者だ。大地から始まり、生命、時間、思考など、全ての概念を一から生み出す。所謂、神と呼ばれる存在である。
でも彼はそう言われるのが嫌でたまらない。
「俺が『本物の神』だったなら兄弟達から馬鹿にされることがないんだろう?そうだったら良かったのに。これも、俺の【神力】が弱いばっかりに…」
【神力】とは神が世界、物、概念などを無から創造する際に使用される生まれつき持つエネルギーのようなものだ。【神力】は減ったり枯渇することはないが、所持する量が多ければ創造するもののスケールが大きくなり、より緻密に生み出せる。
しかし、ルイスの【神力】は50万。それに比べて他の兄弟神はだいたい100万ちょっとだ。半分も少ないのである。
そのせいで彼は小さい頃から兄弟に馬鹿にされることが多かった。幼少期から抱えてきたコンプレックスは彼の心を今も黒く覆い尽していた。
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ルイス以外に《世界》を創り、所有している神は10柱いる。彼らは自分の《世界》の中で正体を隠して住んでいるか、《神国》ヴェガで暮らしているという。
《神国》ヴェガはルイス達11柱の父ーーソルニウムが宗主として、息子や娘たちが創った世界を監視するために造られた。
また、ヴェガにはもう一つ大事な役割がある。
それは「異世界転生」をさせることだ。
《世界》で亡くなった生命の魂が別の《世界》に渡れるようヴェガが架け橋となるのだ。
そして、ルイスがヴェガに来た理由はこれだ。
異世界転生させる魂を探しにゼファートからはるばるやって来た。
「ほんとはこんなとこ来たくなかったがな。兄達に会わないうちに適当に魂を持って帰るとするか。あと一つ…まぁこれでいいだろう。」
そう言って一つの魂を壊れないように優しく掴んだ。一瞬見つめて、静かに呟く。
「イチノセツムギ。俺の世界でもよろしくな。」
ルイスの声は魂の中へ吸い込まれていった。
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