この世界と家族認定
「えーと、まず聞きたいんですけど、神様ですか?」
転生前のハーデースとあまりに似た見た目に思わず聞いてしまう。
「僕は神様ではないよ、一人間さ、ただ昔色々あって不老と死なない限り永遠の命を手に入れたけどね。お陰で一部の人たちからは神と崇められている。結論として答えるなら、神ではなく人間だが神様と呼ばれることはある」
昔あった色々がとても気になる。不老に永遠の命って凄すぎないか?
とりあえず、ハーデースとハデスは別人らしい。
「とりあえず、わかりました。じゃあ次なんですけど、転生者って知ってますか?」
「知っているとも、700年ほど前、まだこの星が無法地帯だった頃にどこからともなく現れた少女は自分のことを転生者と名乗っていたよ」
700!?この人そんなに生きているのか
「彼女は凄かった、30年ほどかけて世界統一を僕が成し遂げた後、聞いたこともない武器やアイテム、日用品、法律や施設を教えてくれたよ、この国にあるあらゆるものの基盤を作った転生者さ。そして、僕が今でも伝説として語り継いでいるんだ、転生者という存在自体は広く認知されているよ」
え?待って待って、世界統一したのこの人なの?頭が追いつかない、転生者よりもこの人の方が気になる。
それからしばらく、お互いに情報交換を行った。自分を転生させた神がハデスに名前も見た目も似ていること。凜から提供できる情報はこのくらいで、後は一方的にハデスの話を聞く時間。
結局私は転生者だとハデスは信じてくれたらしい。きっとよく知らないことが多いだろうから。と、親切に色々と教えてくれた。
この世界は政府が管理しており、そのトップに位置し意思決定権を持っているのが『女王』であり、その女王も神器の杖を持っているらしい。後は先ほど聞いた、数十年に一度現れるという『天災モンスター』を倒すために四天王と聖女がいること。
魔法がある世界ではあるが後の話は拍子抜けするほど前世に近い内容だった、寿命に関してもこの人がおかしいだけで普通は80程度、時間の流れも同じ。個人的に気に入った情報と言うと、温泉や水着が存在することや、数年前、四天王の一人の白という女性のおかげで同性婚が公に認められたとか、そんなぐらいだった。もし、会うことが出来たら白さんにはお礼を言わなきゃ。
途中、ハデスは杖を使い私の体を調べていたが、何事もなく終わると、何も問題ないとニコニコしていた。
「よし、話はこれぐらいにしておこう、もう夜も遅いしね、今から三人を呼んで君が転生者だと僕が説明するよ、安心したまえ必ず信じてくれるさ」
「よろしくお願いします」
ハデスが二階に上がり、程なくして、全員がリビングに揃うとハデスが説明を始める。間髪入れず続く話を、三人は真剣な目で食い入るように聞いていた。
20分ほど経った頃だろうか
「・・・と言うわけさ、凜は危険じゃない、暗殺だとか諜報員だとかそんなことはありえない。僕が保証しよう。むしろ僕の話をちゃんと聞いてくれて良い子だなと思ったね!」
「師匠がそう言うなら大丈夫だな」
「ハデスさんがそう言うなら私も安心です」
「その杖で凜を調べて、何も無かったんですの?」
「ああ、そうだよ」
「探知に最も優れたハデスの杖が反応しないとなると認めざるを得ないですの。危険は無いと信じますの」
思っていたよりもハデスは皆んなに信用されているらしい、さすがは700歳overである。
先ほどまで突っかかっていた闇でさえあの様子。
話が済むとハデスの後ろで棒立ちして、話が終わるのを待っていた凜の元へ悠が寄ってくる。
悠は凜の手を取ると
「凜、改めてよろしくね、私たち三人あなたを家族として歓迎します」
微笑まれるだけで和んでしまう良い意味での魔性の笑顔、結婚したい!そして・・
「私は歓迎したわけでは無いですの、危険がないと理解しただけですの。家に置いてやるかどうかは別問題ですの」
もはや、恒常的とさえ思え始める闇の毒舌
「俺は、悠が良いなら認めるぜ、これからよろしくな凜」
活気に満ちた晴天のような笑顔を向けてくれる灯、先ほどの殺気が嘘のようだ。
「いや〜、めでたいね!凜、この三人と仲良くしてあげてね」
「もちろんです!悠さん、闇さん、灯さん、これからよろしく!」
それからしばらくは、相変わらず、闇の嫌味がハデスに飛び、怒る闇を悠がなだめ、灯が半笑いで眺め、凜が傍観する。
正直、トラックに撥ねられるわ、異世界に飛ばされるわ、挙げ句の果てに狼に喰われたが、こんな可愛い女の子達と一緒に暮らせるなら、お釣りがくるってもんでしょ!生前死にたいと思ったことはないが、死んだことは仕方ない。めいいっぱいこの世界を楽しむぞー!