表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
連鎖〜実力  作者: 崋山楽 
ハジマリ
1/10

第一話 出発

「卓也、今日はお天気とってもいい」

 朝早くから家中に少女の声が響いた。

「朝早くから元気だな…おはよう」

 アクビ混じりの青年の声が答えた。

「あ。そうか、おはよう卓也」

 満面の笑みで少女は答えた。


 少女の名前をかおり。

 人間によって創りだされた異端の人間。

 青年の名前を宮神 卓也。

 『組織』の術者にして、かおりの保護者。

 同居を始めてまだ数ヶ月しかたたない新米家族だ。


「だって今日はお出かけなんでしょう?楽しみで」

「お出かけたって仕事だぞ…うまくいったら少し遠出するかも知れないぐらいだぞ」

 少し呆れ顔で卓也が言った。

「それでもいいの。だって、行った事無い所に行くんだもん」

 かおりは待ちきれない様子で言った。


 かおりは今日卓也の監督の下初仕事に向う。

 卓也はこの数ヶ月、かおりを伴い近場で霊力の訓練をしていた。

 かおりの様子を見て軽い仕事なら出来ると判断し、本日に至った。


「それにしても元気だな…」

卓也はそうつぶやいた。


トゥルルルルトゥルルルル…


電話がなった。

「はいはいっと。はい。宮神です」

少しめんどくさそうに電話に出た。

「はい。これから出発です。…はい?…あぁ〜分かりました…はい…はい…よろしくお願いします…はい、失礼します…やれやれ」

卓也は電話を切ると少し呆れ顔でかおりに振り返った。

「どうしたの?」

「仕事が増えた」

「増えた?」

「そう。今回行くところの近く、簡単な除霊らしいんだけど、手が足りないから俺とかおりで行ってくれってさ」

「ふ〜ん。いいじゃない。もっと色んな所に行けるんでしょ?」

「まぁ。お前がいいならいいか…すぐに詳細がファックスされて来るから、詳しいことはその時に」

卓也はかおりの言葉で何か吹っ切ったようだ。

最後には晴れ晴れしたような顔になった。

「はい。分かりました。じゃぁそれまでに朝ご飯食べようよ」

「そうだな…今日はかおりが朝ご飯当番だぞ」

「は〜い。支度しま〜す」

かおりはそう言うと、台所へ入っていった。




「じゃぁ、最初に追加分の方に行ったほうがいいね」

「そうだな。こっちの方が近いし、何ヶ所か行かないといけないからな…」

 卓也達は朝食をとった後、追加された仕事の確認をした。

「こんな仕事もあるんだね」

「あぁ、たまにな…だけど殆ど『力視(ちからみ)』の奴がやるからこっちに回ってくるのは珍しいな」

(…かおりの事をかなり侮っているな…)

「…卓也?」

「ああ、すまない。初仕事なのに泊りがけになるなって、思って」

 卓也は追加分の仕事で『組織』がかおりの事をどう思っているか思い知らされた気がした。

「卓也…私は大丈夫だよ」

「かおり?」

「私は卓也が大好き。卓也が居てくれたらそれでいい」

「お前…」

(気づいて…)

「だから、大丈夫だよ」

(…そっか…なら、今はそれでいい…)

「何言ってんだ?お前?俺はお前の保護者なんだからお前のそばに居るのは当たり前だ」

 卓也はお互いが分かっているのを理解した上で、分からないふりをした。

「うん。そうだね。私、何言ってんだろ」

 かおりもそれを理解した。

「かおり、返事は『うん』じゃなくて『はい』だろう?」

「あそっか、はい、ごめんなさい」

「よろしい」

 卓也は満足そうに頷いた。

「それじゃあ、私は荷物とって来るね」

「ああ、俺も用意しないとな」

 そう言うと二人は立ち上がりそれぞれ行動を開始した。




「じゃあ、出発するか」

「はい。戸締りもしたし、荷物も大丈夫だよ」

「そうだな。まあ、戸締りはあんま意味無いけどな」

「そうだね。卓也の張った結界があるもんね」

「まあな」

 そう言うと卓也はかおりをつれて家から出て行った。




 かおりの初仕事が始まる。




「卓也、移動が電車なんて珍しいね」

「あぁ、今日行くところは俺も初めてだから、電車とかバスの方が迷いが少ないしな。まぁ、どうしてもって時にはタクシーって手もある」

「ふ〜ん?」

 かおりは分かったような分からないような微妙な顔をした。

「今回の仕事は秘境ってわけじゃ無いからこっちの方がいい」


その後、卓也とかおりはその後たわいのない話をしながら半日かけて第一の目的地に到着した。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ