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9 騎士団長の息子は魔法を疑います

ファンタジー要素。あまり突っ込まないでいただけると幸いです(^_^;)



「エクス。少しいいか」


授業が終わり、アリスの元に行こうと立ち上がるとリンスにそう声をかけられる。


「どうかしたの?」

「少し気になることがあってね。外に出ようか」

「ここじゃマズイ話か?」

「ちょっとね」


ここではできないような話・・・見当もつかないがとりあえずアリスの様子だけは見ておきたいな。


「・・・わかった。だがその前にアリスの様子を見てきていいか?」

「もちろん。あ、でも向こうも今忙しいんじゃないかな?」

「忙しい?」

「行けばわかるよ」


そう言われてアリスが授業を受けている教室に向かう。この学園は様々な授業があるが、何を受けるかは必要に応じて変わってくる。男女別の授業も多く、今日の授業は座学以外はアリスとは別の授業なので一緒に過ごせる時間が少ないのがなんとも遺憾だがこういう学生生活もあと一年ないので、それなりに楽しむしかない。


そうしてアリスの教室へと向かうと何やらアリスの周りに人だかりができているのが見えて俺は察した。


「なるほど・・・確かに忙しいわけだ」

「そりゃね。君が側にいないうちに色々聞きたいだろうからね」


アリスは一昨日、王子に冤罪で婚約破棄された。そして物語みたいに横から俺に助けられた。皆からしたら色々聞きたいわけだ。


「にしても、俺には誰も聞いてこないのは人徳の差かな?」

「心配しなくてもミスティ嬢の次はエクスに聞いてくると思うぞ?お嬢様方はこの手の話に敏感だからね」

「そういうものか・・・」


しばらく終わりそうにないので俺はリンスに続いて人気のない場所に向かう。周囲に誰もいないことを確認してからリンスは表情を真剣にして言った。


「話したいのは兄さんとその側近だった人達のことなんだ」

「彼らがどうかしたのか?」

「今は大人しく自宅で謹慎を受けているみたいなんだけど・・・どうにも僕はわからなくてね」

「わからない?」


その言葉に頷いて言った。


「たった一人の平民に関わってから兄さんと側近だった人達は堕落をはじめた。わからないのはどうやって平民の女が兄さん達の心をそこまで掴んだのか。どうにもわからないんだ」

「・・・リンスはあの女に何かを感じると?」

「かなり変な話をするけど笑わないでね。僕は彼女が魔法を使えるんじゃないかと思うんだ」

「なるほど、確かに変な話だ」


魔法。ファンタジーに出てくるような超常的現象。基本的にはこの世界でも前の世界でもそれは想像の産物でしかない。


そう・・・一部を除いてだ。

この世界にも一応魔法はある。


とはいえ、決して万能の力ではない。所謂体質のようなもののことを魔法と定義している。例えば産まれながらに水を操れるものを水魔法と呼んだり、風を操れるものを風魔法と呼んだりなどだ。まあ、その力も大から小まで様々にある。例えば同じ風魔法でもそよ風を起こす程度のものから突風を操れるものもいるし、水魔法も少し水を持ち上げる程度から汚水を浄化できるようなマジもんの魔法も存在する。


そんな凄い魔法なのだが、この世界では発現した段階で秘匿の扱いになる。理由は向こうの世界で言う『異能力に目覚めた高校生がそれを隠す』みたいな格好いい理由ではなく、軍事利用しようにもその能力は極めて不安定であり思春期を過ぎてから発現して一日で消えるものもあれば、幼児から覚醒して死ぬまで使えることもあるというなんとも微妙なものだからだ。


そして、魔法の発現は基本的には貴族の血筋に多く発現する。まあ、ほとんどの貴族は発現しないが、稀に祖父の代に発現してから孫に遺伝したりとこれもまたかなりアンバランスなので、そういう体質だと納得することで折り合いをつけている。


おそらくリンスが言いたいのは・・・


「つまりリンスはあの女が魅了魔法(・・・・)の使い手ではないかと思っていると?」

「あくまで可能性だけどね」


魅了魔法。異性に対して催眠効果のある力のことをそう言うらしい。随分前に他の貴族の家で発現していたような気がするが・・・


「本気か?」

「あくまで可能性の一つだよ。でも兄さん達のあの心酔っぷりをみるとどうにもその可能性が捨てきれなくてね」

「・・・陛下の意見は?」

「陛下はあの女がその力を持っている可能性は高いと睨んでいる。おそらく無自覚に使ってるのではないかと。まあ、もしそうなら大変だから今は女騎士に見張りをさせているそうだが」


流石陛下だと感心するが、もしそうなら面倒なことになるな。このまま無自覚に周囲の男を魅了すると後々更に大きな事件を引き起こしそうだし、下手に解放はできないな。


「まあ、君がなんで彼女の魔法から解放されたのかわからないが・・・もしかしたら君の持つ魔法が関係してるのかな?」

「身体強化がか?」


騎士団長を代々任されるロスト子爵家は高い確率で身体強化魔法を授かることがある。エクスも使えるのだが・・・おそらくそれは関係ないだろうと思う。何故なら俺の人格になってから一度も魅了の効果がないことを考えると俺という人格が魅了魔法を無効化しているのではないかと思うからだ。根拠はないが・・・まあ異世界転生なんてとんでも現象があるんだからそれを無効化できてもおかしくはないだろう。


「まあ、とにかく一度調べたいからエクスにも付き合ってほしいんだ」

「って、リンスが自分で調べるのか?危険じゃないか?」

「僕も一応魔法が使えるし、もしもの時は他の女騎士と君が止めてくれると信じてるからね」

「はぁ・・・今朝話しかけてきたのはこの話をするためか?」

「友人になりたいのは本当だよ」


そう笑顔で言われるので俺はため息をついてから言った。


「明日でいいなら付き合おう。ただ、俺もアリスとの時間が欲しいから長くは無理だぞ?」

「十分だよありがとう」


そうして見事に面倒事を引き受けてしまう自分にため息をつきたくなるが、アリスの害になるなら排除が必要だろうから丁度いい機会と割りきることにした。




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