76 騎士団長の息子は盗賊を殲滅する
いつも通りあっさり片付けるエクスさん
「さてと・・・いきますか」
馬車から少しだけ歩いて鉱山に向かうと近くに複数の気配を感じた。遠距離からこちらを狙っているのは5人・・・あと1人は偵察といったところか?武装は弓やボウガンかな?まあ、その程度の武器なら俺に怪我を負わせることはできないだろうけどね。
ビュン!
風を裂いて矢が飛んでくる。それを避けずに受け止めると連続で矢が飛んでくる。それらを全て片手で防ぐと矢を眺めてから聞こえるように言った。
「いい武器だな。これも盗賊らしく奪ったものか?」
その言葉に怒ったように連続で放たれた矢を俺は集めてから、軌道を読み取ってダーツの要領で投げる。すると、遠くで落ちる音が聞こえてきたので無事当たったらしい。その要領で同じように4つ落としてから走り去る足音を追いかけるか迷ってからやめた。どうせなら派手に出迎えてもらって倒すのがいいだろう。
俺はゆっくり落ちている盗賊に近づくと落ちた衝撃で体を打った上に矢が深く刺さったようでそうとう重症な盗賊の男の頭を持ち上げて聞いた。
「道に迷ったんだけど、盗賊の住み家はここら辺であってる?」
「き、貴様!何者だ!」
「質問してるのはこっちだってば」
ザシュっと矢を引き抜くとそれを男の目玉に突きつけて再度聞いたら、
「もっかい聞くよ。ここら辺が盗賊の住み家であってる?」
「あ、あってる!だから命だけは助けてくれ!」
「別にいいよー」
俺は男を投げ捨ててから次の男をに近づくと聞いた。
「なあ、お前らのその使ってる矢。先端のやつはこの鉱山の鉱石を元に使ってるだろ?」
「だ、だったらなんだ!」
「聞いただけだ。答えなら最初からわかっているから」
組織の構成なんかを聞くべきなのだろうが、そこまでするつもりはない。どうせ聞いたところで潰すのに変わりはないし。とりあえず男達を一ヵ所に集めてから簡単に縛るが、全員木の上から落ちた上に矢に付着していた毒でマトモに動けないようなので放置しても問題はなさそうだ。
そうして一直線に鉱石を目指すと見渡しがいい場所に大勢の盗賊が待ち構えていることがわかった。数は100くらいかな?まあ、別に何人でも変わらないけど。やがて景色が開けて視界いっぱいに人が写るが俺はその真ん中の人物に少しだけ驚いてしまう。
「ほう、盗賊と聞いてたが女の子がリーダーとはね」
「女だから悪いか!アタイらに手を出してタダで済むと思うなよ!」
小柄な女の子がそんなことを言うが、しかし子供のリーダーねぇ。なるほどそういうことか。
「抵抗しないなら痛くはならないがどうする?」
「はぁ?この状況でそんな台詞とは可笑しいんじゃないの?」
「面倒だから抵抗するならまとめてかかってきてよ」
「・・・上等だ!やっちまえ!」
その掛け声にあわせて何人もの男が襲いかかってくるが、それを普通に一撃で沈めていくと、やがてリーダーの表情が変わっていく。
「な・・・なんなんだお前は!?」
「頭!俺らがやりますよ!」
うぉおお!と勇猛果敢に襲ってくる男も手刀で一撃で眠らせていく。そのうち辺りには屍のように気絶した人間で埋め尽くされていく中で呆然としていたリーダーの女ははっとしてからギリッと唇を噛み締めてからこちらに突っ込んできた。
「ふざけんなー!」
一見ただの体当たりだが、俺はそのリーダーの女が魔法を使って致死性の毒を込めたナイフを俺に突き立てようとしているのがわかった。なので手首を捻って取り押さえる。
「驚いたよ。毒使いとはね」
「な、なんでアタイの魔法のことを・・・」
「女の子のリーダーで強力な魔法。そして途中の盗賊の武器に仕込まれていた毒を見てから察しはついていた」
しかし、ここで魔法を使える人間に会えるとは思わなかった。しかも毒とはまた使い勝手のよさそうな駒だな。これなら使えるか。
「まあ、どのみちここは俺らのものになる」
「ちくしょう・・・!」
「だから提案だ。お前は俺の部下になれ」
「なっ・・・できるわけないだろ?アタイが屈したらアイツらは・・・」
「別に仕事は与える。言っとくがこれは善意での提案だ。無駄な犠牲が嫌なら大人しく従うことだ」
リーダーの女はしばらくこちらを睨み付けてから吐き捨てるように言った。
「わかったよ!アタイの体好きにすればいいさ!」
「いや、それは興味ない」
「なんだと!」
「お前みたいなツルペタには興味ない。俺はアリスにしか欲情しないからな」
「あ、アリスって誰だよ!」
「俺の天使さ」
「わけわかんない・・・」
「つまりだ。俺は好きな人がいるからな他の女には興味ないのさ」
その言葉にしばらくしてからリーダーの女は聞いてきた。
「なんでアタイらを潰しにきた?」
「結婚指輪の素材集めのためだ」
「・・・はは、そんな理由でアタイらは潰されたのか」
「遅かれ早かれこうなっていたさ。でもお前が従うなら仲間は無事でいられるがどうする?」
「あーくそ!もう、わかったよ。お前の部下になるからアイツらは見逃してくれ!」
「交渉成立だな」
そうして離してから襲ってこなかったのは俺の力をハッキリと自覚したからだろう。こうして俺は新しい部下を得ることになるのだった。




