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75 騎士団長の息子は鉱山へ向かう

道中


「ルーテルくんは恋人はいないの?」


馬車での道のりでそんなことを聞くと、ルーテルくんは少しだけ困ったような表情をして言った。


「一応はいます。あのそれよりも・・・何故殿下がここにいるのですか?」


そう、この馬車には本来はいないのはずの人物も乗っているのだ。我らが王子のリンスだ。そのリンスはニコニコ笑って答えた。


「他の貴族に手柄を横取りされても困るだろうからね。僕がエクスの見届けに付き添うんだよ」

「お前は面白そうだからついてきたんだろ?」

「エクス様、流石に殿下に無礼では・・・」


そうして案じるルーテルくんにリンスは微笑んで言った。


「エクスは特別だよ。彼は僕の数少ない友人で、かけがえのない相棒だよ」

「そ、そうなんですか。流石エクス様です」

「お前は友人多いだろうが。それに相棒ってなんだ」

「格好いいだろ?それに本当の意味で友人になれる人は少ないからね。君くらいだよ。清々しい程に私欲が明確で、それが誇れる人間は」

「否定はしないけど」


アリスのことならなんでも妥協はしない。ただ、貴族としての権威やら名声やらは全く欲しくはない。あくまでアリスを手にいれるための材料でしかないからだ。だからリンスが王子なのも別にどうでも良かったりする。敵対するなら対抗するし、アリスを奪おうとするなら躊躇なく殺す覚悟はできてるけど、リンスがそこまで愚かではないのは俺が知っているので大丈夫だろう。


「それで、ルーテルくん。その恋人とはどんな出会いなのかな?」

「え、えっと・・・幼なじみです」

「ほうほう、それはそれは甘酸っぱいねぇ」

「君も幼なじみと言えるだろう」

「まあ、そうかもね」

「エクス様の婚約者は確かミスティ公爵令嬢ですよね?でも確かミスティ公爵令嬢は最初は第一王子のメイス様の婚約者だったとか」


なかなか詳しいな。やっぱり俺とアリスのストーリーもかなり広まっているのだろう。まあ、他国まで知れわたっているくらいだし国内ならなおそうか。


「そう、リンスの兄から婚約者を俺が奪ったんだよ」

「それは・・・凄いですね」

「そうでもないさ。たまたま告白の機会があって、それを活かしたら結果としてアリスを俺のものにできただけだから」

「奪った相手の弟の前で語ること?」

「あれは自業自得だからな。そもそもあんなにあっさり他の女に騙された方が悪い」

「なるほど、正論だね」


アリスを手に入れられるならなんでもする。例え悪魔に魂を売ってでもだ。でもアリスの気持ちもきちんと考慮するから最終的にはそんなオカルトチックな結末にはならないだろう。手に入れると言っても心も含めての全部だ。アリスの心を汚してまで強引にはいかないだろう。まあ、たらればの話をしても意味はない。結果が全てだ。


「俺の話よりルーテルくんだよ。幼なじみの女の子、どんな子なの?」

「凄くガサツですよ。乱暴で喧嘩っ早くて、すぐに泣くような危なっかしい人です。だから僕が側にいないといけないんです」

「それはまあ、ベタ惚れだね」

「そうなんですか?」


なんだかんだでこの人は私がいないとダメなんだみたいなタイプ。まあ、確かにその人じゃないとダメ系はなかなか新鮮でいいが、俺の場合はそもそもアリス以外を嫁に迎える気がないので、アリスが他の人を選んだら一生独身で死ぬだろう。アリス以外の女を嫁にとか無理ですよ。どう考えても嫌だ。アリス以外の女に触るのだって拒絶感があるもん。いや、もちろん友好的にできるならするけどアリス以外を異性として見るのは無理すぎる。


「まあ、いい関係を築けてそうだね」

「そ、そうでしょうか?あんまり自覚はないですが」

「なら、もう一人の意見を聞いてみればいい」


そうしてリンスに視線を向けるとリンスは苦笑して言った。


「そうかもね。僕は婚約者とは別の方法でコミュニケーション取ってるからわからないけど」

「お前も大概だと思うけどな」


リンスの場合はある程度距離を取って相手に追ってこさせつつ甘くするアメとムチタイプだろうか。すでにあの王女様を手懐けているからね。ドSの片鱗が見えるよ。まあ、あの王女様がリンスにご執心みたいだからいいだろうけどさ。


「凄いですね、お二人とも」

「まあ、人それぞれってことだと思うよ」


そうして鉱山に向かう馬車は和やかに会話が成立する。この後に俺が一人で仕事をこなさないといけないのはまあ、予定通りだけど、リンスが付いてきたのはかなり想定外だ。まあ、戦いの最中はルーテルくんと離れて貰えばいいか。それにリンスも戦えばそこそこ強いはずだし護衛は必要ないだろう。念のため周囲には警戒しておくけど、今のところ何の反応もないし思ったよりも警戒は甘いかもしれない。まあ、盗賊がどの程度強いのかわからないけど、流石に俺の魔法を無効化できる剣がある限り肉弾戦では負けることはないだろう。よっぽと格上に出会わない限りは。まあ、その格上もそこまでポンポン出るものじゃないだろうしね。お祖父様レベルなら少しだけ面倒かもしれないけど、頑張ればいけるかな?いや、アリスのためなら余裕だろう。









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