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68 騎士団長の息子は孤児院を訪れる

突然の孤児院


俺という人間の思考を知るにはアリスのことだけを考えれば事足りるが、しかし、時には俺も似合わない真似をする。


「シスターこんにちは」

「あら、エクス様。いらっしゃったんですね」


本日は領地の孤児院に来ていた。この孤児院には何度か来ている。何故孤児院に来たのかと言えば最初は乙女ゲームの関係で訪れただけだ。その後は領民との接点を持つためと、アリスとの関係構築に必要だと踏んだからだ。それに孤児院にいる子供の中には魔法を使える子供が時々いるので早いうちに押さえておきたいのだ。このシスターさんもにも俺は何度も会っているが、もちろん決して疚しいことはない。確かに美少女だとは思うがアリスの足元にも及ばないからだ。それにこのシスターさんにはきちんと想い人がいるので安心して会話ができるが、アリスの嫉妬を招きかねないのでそこまで親しくはしていない。


「皆ーエクス様がいらしたわよー」


シスターのその声に子供達がぞろぞろと集まってくる。10人くらいはいるが半分近くは魔法を使える。まあ、とはいえ今のところはそこまでアプローチはしていない。ここの孤児院の子供達は皆色んな境遇で親を亡くしたり、親から捨てられた子供が大半だ。そんな子供に初めから何かを求めるのはいくら俺でも少しだけ可哀想に思うからだ。まあ、必要なら手段は選ばないけど、少なくともそれが急ぎでなければ手段は選ぶくらいの人格は残っている。


「ねえねえ、エクス様。今日はどうしたの?」


子供の一人からそう聞かれたので俺はそれに頷いて言った。


「今日は皆にお願いがあって来たんだよ」

「お願い?」

「そう。もちろんシスターさんと神父さんにもね」


その言葉にこちらを見ていたシスターさんと神父さんが首を傾げるので俺は単刀直入に本題に入った。


「俺の結婚式を隣の教会でやりたいんだけど・・・どうかな?」


今いる孤児院の隣には少しだけ古い教会がある。あまり使われていないが整備はされているのでそう聞くと子供達は嬉しそうに返事をしてくれたが、シスターさんと神父さんはかなり戸惑っていた。


「光栄ですが・・・よろしいのですか?うちは古いだけの教会ですよ?」

「そ、そうですよ!それにエクス様ならきちんとした教会でも式を行えるんじゃないですか?」

「まあ、理由はいくつかありますがね。端的に言えば俺の婚約者と話して一番条件に合いそうなのがここだったのでお願いしたいんです」


アリスは小規模な身内のみの式を望んでいた。そして俺に嫁入りするのだから俺の領地で行いたいそうだ。そうなると候補は絞られてくるが、一番大きな教会は神父の顔が気にくわないので却下。まあ、そんな理不尽な理由がなくても最近あまりいい噂を聞かないので排除する予定なのでそこはアウト。そうなるとここを含めて3つあるが設備が整っていて尚且つ領民にも好印象を与えられるのはここしかないだろうと思ったのだ。無論アリスの了承は得ているのであとはそうなると残るは神父さんとシスターの承認だけだ。すると、神父さんは苦笑して言った。


「そうなると、私が二人の祝福を見守るのですかな?」

「ええ、是非お願いしたいです」

「まあ、エクス様やベクトル様には多大なご恩がありますし断る理由はありませんが・・・」


チラリと視線をシスターに向けるとシスターは少しだけ悩ましそうにしながら言った。


「本当にエクス様の婚約者さんはそれでいいのですか?」

「ええ。近いうちに下見に来ますが、俺の婚約者は少なくとも身分で人を計るようなことはしませんよ」

「それならいいですが・・・」


シスターはどうにも貴族全体に対してかなりの不信感を持っている。ロスト子爵家はこの通り領民に愛されているのでシスターも自然と好感を持っているようだが、それでもやはり長年の習慣は抜けないのか半信半疑ではあるようだ。


「まあ、俺としても婚約者の美しい姿をあまり大勢には見せたくないのでなるべく小規模にやりたいんです」

「エクス様のことだからてっきり婚約者の艶姿を見せつけるのかと思いましたよ」

「ははは。そんなことはしませんよ。自慢よりも独占欲が強いですから」


アリスのウエディング姿を他人に見せつけることはしない。俺のものだからだ。まあ、子供達には見せることにはなるが、子供達は俺の話から俺がアリスのことを大好きなのを知っている上に俺の強さの一端を見ているので憧れはしてもそれが恋情になることはないだろう。それにほとんどは女の子だしね。百合展開はないと思いたいが、リンスの婚約者の王女様には若干その気配があるので油断はしないでおこう。


その俺の言葉に神父さんとシスターは苦笑していたが頷いたので一応これで了承は取れた。後はアリスを連れてきて確認を取って当日までに準備を進めるだけだ。まだ時間はあるけど何事も早いに越したことはない。アリスとの結婚式までの時間をただ過ごすわけもなく俺は全力を捧げる。アリスとの結婚式はスタートではあるけど、そのスタートもどうせならしっかりとしたい。それが俺なりのアリスへの愛情の示し方だ。まあ、ダイレクトにも愛情は示すけどね。







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