30 騎士団長の息子は婚約者に癒される
癒し系アリス(^^)
義弟くんのところから離れてから、用事があるリンスと別れて俺はミスティ公爵家の屋敷を訪ねていた。目的はもちろんアリスに会うためだ。疲れた時にはやはりアリスに限るよね。精神的に磨耗した今だからこそアリスと触れあって癒されたいのだ。
屋敷を訪ねると、すぐにアリスの元に案内された。が、俺はすぐに声をかけられなかった。アリスは中庭にいたが、椅子に座って何かを思うように目を細めていて、率直に言えば見惚れてしまったのだ。
「・・・エクス」
ポツリそんな言葉が聞こえてきた。もしかして俺のことを考えているのかな?なら嬉しいが
「お呼びになりましたか?」
「え?」
その言葉で俺に視線を向けてから顔を赤くして聞いてきた。
「い、いつから・・・」
「俺の名前を呼んでくれる少し前」
「うぅ・・・また、エクスに恥ずかしいところを見られたぁ」
そんな可愛い呟きをするアリスの隣に俺は座ってから頭に手を置いて言った。
「天気もいいし、こうしてのんびりしたいんだけど・・・どうかな?」
そう聞くとこくりと頷くアリス。やはりアリスは可愛いと思いながら隣のアリスの手を握って聞いた。
「さっき、俺の名前を口にしたのは寂しかったからかな?」
「そんなこと・・・いえ、そうかもしれません」
そう言い直してから照れながらアリスは言った。
「凄くワガママなことはわかってるんです。でも、私はもっとエクスと一緒にいたいと毎日のように考えています。最近はいつも一人の時間はエクスのことばかり考えてしまっていて・・・その迷惑でしょうか?」
「まさか。俺もアリスのことばかり考えているから同じさ」
というか、アリス以外のことに思考したくはないというのが正しいか。俺にとって一番はアリス。それ以外にはほとんど価値はない。そういう意味では乙女ゲームや攻略対象、ヒロインの存在も邪魔でしかない。煩わしいものだと思う。しかし、アリスの前でそんなことは絶対に言えない。だから俺は影でこっそり動いてなるべく穏便にアリスから手を引かせることしかできないのだ。
「ねえ、アリス」
「はい」
「例えば、俺が悪いことをしたらアリスはどうする?」
こんなことを聞くべきではないだろうが、思わずそんなことを口にしてしまう。きっと、さっきの義弟くんのことが少しだけ気がかりだったから出てしまったのだろう。まったく、煩わしいことばかりで嫌になる。アリスは俺の質問にしばらく考えてから微笑んで言った。
「エクスを信じます」
「俺を信じる?」
「はい、エクスが悪いことをするならそれなりの理由があると思うんです。だからエクスを信じてついていきます」
なんとも健気な台詞に思わず悶えて顔に出しそうになるがなんとか抑えて俺も微笑んで言った。
「そっか、じゃあアリスは何があっても俺のものだね」
「あ、当たり前です。エクスも私のものなので、他の女の子に浮気したら怒りますからね」
「それは絶対にないから安心していいよ」
アリス以外を女の子として見れないだろうから問題ないだろう。俺の中で唯一異性として意識できるのはアリスオンリーだからね。むしろアリス以外の女に優しくすると思うだけでかなり嫌な気持ちになる。貴族なのだから社交辞令くらいは当然かもしれないけど、それすらも煩わしいレベルだ。
「それより、俺はアリスの方が心配だよ」
「私ですか?」
「アリスは可愛いからね。いつ誰に口説かれるか不安で不安で仕方ないよ」
「エクスは私が他の男の子と一緒にいるのは嫌なんですか?」
「もちろん」
そう言うと嬉しそうに微笑むアリス。独占欲というのは見ていて気持ちがいいな。こうしてアリスが俺のことを求めてくれるのは何よりも嬉しいものだ。
「あの・・・エクス」
「なに?」
「少しだけ眠たくなったので、その・・・ひ、膝枕をお願いしてもいいですか?」
「おいで」
ぽんぽんと膝を叩くと嬉しそうに俺の膝に頭を乗せるアリス。おう、柔らかい・・・あかん、アリスの温もりに飲み込まれてしまう。こうしてアリスに膝枕をしているとなんだか凄く満足感に満たされる。やっぱりこういう時間が人間には必要なのだろう。こうして婚約者とイチャイチャしながらまったり過ごす。やはりアリスは俺にとって最高の癒しだと改めて認識できる。
「お、重くないですか?」
「むしろ軽すぎるくらいだよ。それしてもアリスの髪は本当に綺麗だね」
そう言って頭を撫でなでると、サラサラの銀髪が指に触れるのが心地よい。こんなに綺麗な髪は見たことがないがやっぱり女の子って凄いと思う。こうして高い品質を保って毎日を過ごしているのにその努力を表に出さないことに敬意を表する。まあ、天然な可能性が高いだろうけど、アリスなら影で努力していてもなんら不思議じゃないと思えるのがやっぱりアリスのことをわかってきたということなのだろう。
そうしてしばらくの間アリスを愛でていたがいつの間にか可愛い寝息が聞こえてきたので俺は起きるまでアリスのことを愛で続けるのだった。




