21 騎士団長の息子はご褒美を貰う
アリスからのご褒美
「エクス終わったのですか?」
俺が戻るとアリスが嬉しそうに駆け寄ってきた。俺はアリスに微笑んでから後ろに続くヒロインに視線を向けて聞いた。
「こちらは特に問題はなかったか?」
「ええ、お嬢様が他のご令嬢に囲まれて色々聞かれてた以外はとくにね」
「マリアったらわかってて助けてくれなかったんですよ。ひどいです」
プンスカするアリスに俺は微笑んでから言った。
「マリアと大分仲良くなったようで何よりだ。少しだけ心配だったんだが・・・まあ、何かあったらいつでも俺が守るから遠慮なく言ってね」
「エクス・・・はい!」
「心配性ね。お嬢様に何かしようとは思わないわよ。むしろあんたがお嬢様に何かするんじゃないの?」
「俺がアリスの同意もなく襲うと?」
そう聞くとヒロインは微笑みながら言った。
「むしろ何もされないとお嬢様が心配になるかもよ?なんなら私が先に女の快楽をお嬢様に教えてあげてもいいけど・・・」
「ははは、そんなことをしたらマジで斬るからな」
「笑顔で殺気を出さないでよ。冗談よ。でも本当にお嬢様はいつあなたに要求されるか楽しみにしてるみたいよ。昨日もそれはそれは熱くあなたのことを語ってーーーむぐ」
「だ、ダメ!マリア、それは秘密だって約束でしょ!」
慌てて口をふさぐが聞いてしまったものは早々に忘れられない。しかしそうか・・・アリスはすでに覚悟が完了していると。そうなら早いとこ襲いたいが・・・しかし今襲って学園を中退させるのはあまり良くないので我慢だ。アリスはヒロインの口を抑えながら恐る恐る聞いてきた。
「あ、あの・・・聞いちゃいましたか?」
「そうだね、アリスがそんなに俺のことを求めてくれているとは思わなかったけど・・・」
「うぅ・・・恥ずかしいですぅ・・・」
顔を真っ赤にして俯くアリスに俺は優しく微笑みながら言った。
「でも、嬉しいよ。アリスが俺のことをそこまで想ってくれているなんて。本当なら今すぐ初夜にしたいところだけど・・・俺としては正式に結婚してから初夜を迎えたいんだ。だからそれまで我慢できる?」
「わ、私は別に、そういうことに興味があるわけでは・・・」
「そうなの?俺はアリスとならやってみたい。逆にアリス以外とは絶対にしたくない」
好きでもない女を欲望のままに抱くというのは俺には出来そうもない。アリス以外の女を抱くと思うと吐き気がするほどに背筋が寒くなる。やはり俺には純愛しか無理そうだ。というか、その手の倫理観はやはり多少ハードルがある方がいいだろう。いきなり18禁ではなく、さりげない15禁の描写。エロゲではなく、ギャルゲ的な感じで分けなくては。俺の言葉にアリスは少しだけ嬉しそうな表情をしてから恥ずかしそうに頷いて言った。
「わ、私も、エクス以外とはしたくありません」
「うん、もちろん。アリスが俺以外の男に抱かれるのは許さないから覚悟してね」
「え、エクスこそ、私以外の女の人を抱いてはいけませんよ。あと、他にも色々しちゃダメです!」
「色々と言うと、例えば・・・こんな風に近づいて」
そう言ってから俺はアリスに近づいてからヒロインの口を抑えてない方の手を取り手の甲に軽くキスをしてから聞いてみた。
「こういうのもダメかな?」
「~~~!だ、ダメ!絶対にダメです!」
「わかったよ。じゃあアリスも俺以外の男からは例え挨拶のキスとはいえ禁止だからね」
「も、もちろんです!私は全部エクスのものなんですから」
「なら、俺の全部もアリスのものだ」
そう言ってからお互いに軽く笑う。なんてことない独占欲なのに相手にこうして目の前で素直に言われると凄く嬉しくなる。普通なら面倒なカップルにしか見えないが、その面倒さをお互いに愛しく思っているのだからセーフだろう。
「そういえば、アリスにはご褒美を貰わないとね」
「ご褒美?」
「あの戦いに勝ったらアリスからご褒美が貰える約束だったよね?」
その言葉にアリスはしばらく考えてから思い出したのか顔を赤くしてかは静かに頷いて言った。
「わ、わかりました。目を瞑っていてください」
「はいはい。わかったよ」
ゆっくりと目を瞑ってから俺は内心で笑ってしまう。ご褒美はキスだがどこにキスをしろとは指定しなかった。それなら頬にキスとかさっきの俺みたいに手の甲にキスとかそういう可愛いやつになるだろうと思って余裕をこいていたが、それはすぐに消えた。
「ん・・・」
背伸びしたらしいアリスから伝わってくる温かな感触は予想外のところから発生していた。まるでそう、本当にキスをされているようなーーー思わず俺は目をあけると目の前でアリスが俺に背伸びして精一杯キスをしてる姿が見えた。つまり本当に唇にキスをされているのだ。唇が離れるとアリスは目を潤ませながら言った。
「ふぁ、ファーストキスです・・・責任取ってくださいね」
「もちろん、喜んで」
予想外の大きなご褒美に俺は今日頑張った甲斐があったと心底思うのだった。唇にはアリスの熱がまだ残ってるような気がしてそれを消したくないので今日はしばらくこのことを忘れられないだろうと心底思う。真面目なアリスが俺の言葉に従ってファーストキスをくれたのでこれは一生大切にしようと改めて誓ったことは言うまでもないだろう。




