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犯人はお前だッ!!

さあみんなで考えよう(まて



 いらっしゃいませ、こんばんわ。

 またのご来店ありがとうございます。




 うちの常連さんには「わんこ+じいちゃん」というセットが何組かおられます。

 朝晩の2回、店舗の前を通る散歩コースのコンビ達です。

 大半は夕方の時にオーナーが餌付けをしているので、制服を着ていたら無警戒にモフらせてくれます。

 モフった後に、


「ニクは?」


 といった表情と首を傾げるポーズをする場合が心を癒してくれます。

 私服だと吠えられるんだけどね!




 さて、とある夏の日。

 暑さを避けて日に日に散歩の時間が早くなるじーちゃんとわんこ。

 作業も一段落して、雑誌の整頓たちよみをしていると、入り口にドンっという音が。

 なんじゃ?

 と、入り口に向かうとわんこが前足をガラス窓につけて、わふわふと。

 おっさんを視認すると


「ニク、ニク、モフってもいいよ?」(おっさんの視点です)


 おっさんよろこんで廃棄のニクをもって外に飛び出す。

 モフモフしながらふと気がつく。

 何かが足りない。

 いつもと違う……


「おいわんこ、じーちゃんどうした?」


 そう、付属品かいぬしのじーちゃんがいなかった。

 首輪にリードが付いているので、脱走してきたわけではないようだ。

 十分にもふもふと堪能したのでとりあえず報酬のニクを与えて、店頭横のポールにリードを縛り付け放置。

 そのうちにじーちゃんくるだろうと。


 ……が、30分すぎてもじーちゃんが来ない。

 さすがにおかしいとおもったので、わんこの自宅に電話する。


「おたくのわんこ、ヒモついたまま遊びにきてるので預かってるよ」

「あれ? じーちゃん散歩中に逃がしたのかな」

「そう思ってじーちゃん30分待っていたんだけどこないので連絡したんですよ」

「そういえば、じーちゃんかえってこないなあ。

 迎えにいってみるかな。

 ついでに引き取りにいくよ」

「はーい、お待ちしとりま」


 が、その後ご家族も迎えに来られない。

 そうこうしているうちにシフトも終わるが、まだ来ない。

 再度自宅に連絡するが今度は出ない。

 店頭に縛り付けておくのもアレだし、帰り道も同じ方向、少し寄り道してもいいか送って行くことにした。

 おっさん、リードを取ろうとするがわんこに吠えられる。

 すこし泣きたくなった。

 

 さてこのわんこ、非常に落ち着きがなかった。

 じーちゃんちに来たばかりの子で躾の途中だったようだ。

 このじーちゃん躾上手で、わんこが人間の真横を歩く!

 走らない!

 リードを引っ張らない!

 だけどこのわんこはおっさんに元気にとびかかってくる。

 本気で嫌われているのかと心が折れそうだった。


 わんこの自宅に到着。

 そして、……誰も居なかった。

 正確には先住の老わんこが犬小屋でわふわふ言ってた。

 おっさんみても吠えない良いわんこである。

 番犬としてはどうかと思うが……きっとおっさんを覚えて居てくれたに違いない!

 違いない!

 仕方がないのでわんこを犬小屋に縛り付けて、二匹を散々もふりまくった!

 ちなみにニクはないのでタダモフりして帰宅した。


 翌日、じーちゃんの娘さんが来店。


「電話くれてありがとね。

 じーちゃん用水路に落ちててね、意識なくて病院に担ぎ込んだのよー」

「まじですかい」

「びっくりしちゃったわよ。

 迎えにでたら、老わんこが用水路脇で座っていてね」

「ほほう。

 ……あれ? もしかしてわんこはおっさんに助けを求めていた?

 だとしたらすいません、連絡遅くなって」

「いえいえ、気にしないで。

 あのタイミングでも間に合ったし、連絡なかったらどうなっていたか」

「しかし何でまた用水路なんかに」

「暑い日が続いたからねぇ、立ちくらみでもおこしたのかしら」


 そして、数日が経過する。

 おっさん何時もの店外作業をしていると、例のわんこ2匹がくだんのじーちゃんを連れてきた。


「おはようございます、もう大丈夫なんですか?」

「おー、色々お世話になったね。

 ほんと参ったよ」

「えらい(大変な)目にあいましたねぇ」

「まったく、こいつのお陰でなあ」


 ……ん?

 じーちゃんが若わんこの頭をわしゃわしゃしながら放つ言葉に疑問を持った。


「いやな、こいつがはしゃぎすぎてな。

 足元にからんできてなあ、ヒモにひっかかって落ちた」






「……お前が犯人か!」




 最後までお読み頂きありがとうございます。

 またのご来店をおまちしております。

用水路の深さと幅はそれぞれ1mほど。

当時は水がなく3cmあるかないかでした。

老わんこはじーちゃんが落ちた後、自由に動ける状態でしたがその場にいたそうです。

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