表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/7

箱入り娘

箱に入った娘さん。

入ったからにはいずれ出てくるのは当然ですよね。

「非実在青少女」じゃないよ!(トラウマ)

 いらっしゃいませ、こんばんわ。



 最初のお客様ということで、皆さんに馴染み深い(想像しやすい)子のお話をしましょう。

 この常連さん、およそ2年ほど来店してくださいました。

 出会いはとても強烈でしたよ。

 なにせ腹タックルですからね。

 ラノベだったらきっと恋の物語が始まる事でしょう。

 もちろんそんなものがあるわけがないですが!



 ええ、意識外からのいきなりのタックルで押し倒されたのです。

 体重三桁目前のおっさんが!

 正直なにが起こったかまったくわからず、尻餅ついたまま暫くボーッとするはめに。

 後日防犯ビデオを確認したスタッフ一同がとても楽しんでいました。

 くやしくなんてないんだからね!

 


 で、なにが起こったかといいますと。

 深夜を回った1時位でしたか、店頭のゴミ箱の片付けをしに出たわけです。

 場所柄、長距離トラックの休憩場所みたいな立地でしたので、たまにゴミ箱が大繁盛している場合があるのですよ。

 (ドライバーさん、こまめにゴミを捨ててください。なんで両手一杯にゴミ袋もってくるんですか、泣きますよ)

 で、その日も片付けようとゴミ箱の扉に手を伸ばしかけた時!

 投入口からガタンッと音を立てて白い塊が正面やや屈み気味のおっさんわたしの腹に飛び込んできたのですよ……

 入れるのがメインのゴミ箱からなんでモノが飛び出してくるん!?

 回りは真っ暗で車も通っておらず、もちろん人影もない。

 おっさんほんにんの名誉のために、梅津マンガ張りの叫び声があがったということにしておいてください……(泣)



 おっさんを押し倒したモノはそのまま駆け抜けて店舗前の道路を横切り対岸に渡ると此方に振り向き一言。





 「にゃー」





「にゃー」じゃねーよ! 

 そう思ったのは大分後のことでした。



 というわけで、最初のお客様は野良猫のシロ(仮)さんです。

 名前は安易に真っ白かったのでシロです。本名はしらぬ。


 

 で、このぬこ様はたびたびゴミ箱に潜入しては飛び出してくるのですよ。

 流石に初回のタックル事故をかんがみたようで正面に立つ前に逃走してくれるようになったのですが……

 すいません、いきなり目の前でゴミ箱がガタンッと音を立てて揺れて、白い塊が飛び出すのはかなり厳しいものがありました……深夜なので……



 一回だけ偶然にもゴミ箱に侵入する手前に遭遇いたしまして、丁度入り口に両前足をかけて後ろ足で立っている状態で此方に気がつき顔をむけているという、大変にらぶりーな御姿を拝見させていただきました。

 おっさんと目と目を合わせた状態でそっと前足を下ろして暫く気まずそうに見つめあったあと、逃走いたしましたが……



 で、シロさん。

 道向こうのばーちゃん家に住み着きましてその後2年ほど通ってました。

 ばーちゃんの足元をうろうろしている姿はほっこりするものがありますが、ばーちゃんいわく。



「猫嫌い、猫嫌いなのになぜか寄ってくるの」



 ……おっさん、最初のタックルの時以外触らせてくれないのにね!

 他のスタッフは結構もふらせてくれているのにね!


 

 そして季節は巡り冬がくる。

 シロさんが天然のカモフラージュをする冬が訪れる。

 実は、というか豪雪地帯です。

 雪の少ない時分はちょくちょく御姿を拝見していたのですが、流石に膝上まで積もると見かけなくなる。


 

「野良だからなぁ、もしかしたら……」



 スタッフ一同、なかば諦め気味にシロさんの安否をきにかけていました所にばーちゃん。



「猫ね、寒そうにしてるから家(の中)にあげたいれたの」




 ……ばーちゃん、ほんとは猫好きだろう!!




 そんなシロさん、二冬を越えた春先にばーちゃんから100メートルほど離れた道路上で永眠されました。

 発見時にはすでに座布団になってました(合掌)

 



 最後までお読み頂きありがとうございました。

 又のご来店をおまちしております。

(ゴミ)箱入り娘(出産してました)でした。



座布団は隠語です。

○○だったもの→肉袋→座布団→煎餅→ゴミ へと推移します。

初期段階だと片付けるのが楽なのですがね……座布団までいくと躊躇します。

というか触りたくない(笑)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ