プロローグ
自分はこの人生の主人公ではない。
別に自分が作った物語だからとか他人の人生だからとか他人視点だからというわけではない。自分は生きているし自分で色々考えている一般的な人間。掃除に料理に洗濯、並大抵なことだって自分でできる。普通の大学生であってそれ以外の何物でもない。自分の人生を約20年間踏み締めて生きているはずである。小中とほかの人と同じように義務教育を受けて、高校を受験して、行きたい高校にいって、高校生活を送って、大学にはいった。別に失敗といった失敗もせず無難に20年が過ぎている。友達もいるし先輩、後輩、旧友、色んな人と関わっている。だから周りのいろんな友情を見て、いろんな恋を見て、いろんな不運を見て、いろんな頑張りを見て、いろんなドラマを見てきた。みんなは人生の主人公であり、悲劇のヒロインなのかもしれない。
では自分はどうだ。そんな色恋座汰も経験したわけでもないし、不幸っていう不幸もない。友人とのいざこざ、上下関係の不服不満、親子喧嘩。そんなもの自分にはテレビの中のフィクションかと思っていた。
人生は自分が主人公の物語なんてよく聞くが、なら自分の物語はどうだ。小説になんかしたら5ページにも満たさない薄っぺらい物語になるだろう。なんなら同人誌や絵本の方が厚い気がする。そんな薄っぺらい人生で自分の物語と言えるのか。やはり‘自分はこの人生の主人公ではない‘。




