表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
空の勇者と祈りの姫  作者: 卯月
186/186

エピローグ 天より見下ろす者達

 今回は本編に投稿しますが、次回からは外伝として独立した項に投稿しますのでご注意ください。



 どこまでも広がる何も無い無明の空間。壁も光もそこには見当たらない。ただ、広大な空間だけが広がっている。

 アラタの住む惑星とも、地球人類が宇宙に作り上げた人工都市とも違い、星明りさえ無い異様な場所に音だけが響き渡る。


「何か真新しい情報はある?」


「最新の情報ならさっき回ってきた。例の観察箱に放り込んだ一匹が巣の中を作り変えているそうだ。まだ時間は掛かるだろうが、あの失敗作と同じモノ、あるいはそれ以上の不良品になるかもしれないな」


 二種類の声が不明瞭な会話を交わす。男とも女とも、人工知能の機械声とも異なる、およそ人類に類似しない、可聴すら困難な音の塊だった。


「あいつめ、面倒なことをしてくれたよ。確かに虫の移動は権利として認められているが、あんなモノを異動させるとはね。遊び心が疼いたんだろうけど、後始末も考えてるのかな?」


「それには同意するが、虫一匹で今すぐどうこうなるモノでもないだろう。しばらくは放置してもかまわんよ。それよりその虫の移動元の方が厄介だ」


 二者の声に不快感を含んでいるのは会話を拾えば分かるだろうが、会話そのものの意味は分からなかった。


「我々の用意した掃除機が悉く破壊された。それだけなら過去にも何件か事例があるが、今回の不良品共はその掃除道具を解析して、我々の存在に気が付いた」


「知ってるよ。だからその対応で上の会議が割れたんだって?もう一度掃除道具を用意して、掃除しなおすとか。今度は以前の十倍は数を増やすとか言っているが、数で押しても効果が無いと反対意見が出たんだろう?それには同意するよ、アレは既に同じ物への対策を考え付いた。なら数で押しても無駄になる」


「そうだな、だから別の一派が改良品を急がせている。間に合うかどうかは知らんが、私はその前にここに辿り着く可能性も考慮している」


 その瞬間、空間が波打つ。原因は音。およそ人類が出しようがなく、極めて不快な感情を込み上げさせ、空間を揺さぶる音だった。


「それはあり得ない。一番最初に我々に気付いた虫共も、我々の目から逃れる方法だけを模索した。おかげで相当時間生きながらえたが、結局は駆除されたじゃないか。我々に触れるなんて不可能だよ。

 けど気になるなら上に意見してみれば?いや、貴方ならもうやってるか。結果は聞くまでもないね」


「そうだな、あり得ないな。が、既に今回の虫共は一度我々の思惑を超えた。一度起きた想定外が二度起きないと誰が保証してくれる?それに今度で五回目だ。いまさら何が起きても不思議とは思わん」


「そういえば、これで予想を超えた虫共は五種目になるのか。そう考えれば、そろそろそういう種が出てきても不思議じゃないか。

 ところで、そいつらの名称は何だっけ?今度の虫共は自分達を、えーっと『人』と名乗っていたけど」


「ああ、ついさっき決まったから教えに来たんだ。五番目の種は今後『鉄の種族』と呼称する」


「鉄ねえ。ま、なんでもいいさ。重要なのは今後、六番目の不良品が出てこないように混ざりモノをちゃんと見張ってないと」


 それっきり一つの音は沈黙した。

 残されたもう一方の存在もまた沈黙するが、空間が今一度震えた。


「虫けらは我々を『神』と崇めて畏れ敬うが、必要とは思っていない。それを忘れたら、虫けらに滅ぼされる。心得ておけ」


 今度こそ無明の空間は静寂に包まれた。



 今回はある意味舞台裏の断片が出てきました。このエピローグというか設定はかなり早い段階から考えていまして、アラタも憶測ですが、話の初期の頃に割と核心に至っています。続編にも彼等の情報は幾らか出てきますので、また今度。

 それではお読みいただきありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろう 勝手にランキング もしよければクリックしてください
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ