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悔しさと悲しさと怒りとが、ない交ぜになっていた。


何も取り上げることないじゃないか!


これほどまでに父親を憎んだことはかつて無い。成績のことで怒られるなら、我慢できた。けれども、今回の父の行動には我慢ができない。

何も聞こうとせず、一方的に宇垣智秀の大切なモノを奪い取っていった父親。母親も母親だ。息子とはいえ、勝手に人のポケットに手をつっこむなんて、親以前に人間失格だ――


ちくしょう!


たったの、一週間ばかり。

青樹叶からロザリオを受け取って、まだ一週間ほどしか経っていない。しかし、その一週間の間に、何度もあのロザリオの存在に助けられた。

自分の行動に自信が無くなりかけた時、あのロザリオが勇気を与えてくれた。自信を持って、と。まるで青樹叶に、言われているような気がして。

そうだ。

あのロザリオは、青樹叶だった。彼女はこの一週間、ずっと宇垣智秀の胸にいてくれた。

他人から見ればただの物に過ぎなくても、少なくとも、あのロザリオは宇垣智秀にとって犯すことのできない神聖なモノだった。

それを、奪われた。

体を真っ二つに引き裂かれたような痛みが、胸を絶え間なく襲っている。


叶さん……!


あのロザリオは青樹叶の分身であり、宇垣智秀の半身でもあったのだ。

だからだろうか。

欠けたモノを補おうとするかのように。

宇垣智秀は、いつのまにか青樹叶の住む教会の門の前に立っていた。


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