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それから、しばらく他の話をした。

「さっきの電話……急に切れちゃってゴメンね」

「ううん、いいよ。なんか、いきなり怒鳴り声が聞こえてきたから、びっくりしちゃったけど」

「あー。あの声ね、僕の父親なんだ」

「やっぱりそうだったの?」

真純は不安げな表情を浮かべた。

「なんだか、怒ってたみたいだったけど……」

「うん。そりゃもう、家の屋根が吹っ飛ぶくらいの声で怒られよ。厳しい親で、勉強中は携帯触るのは禁止されてるんだ」

「え……じゃあ、ひょっとしてあの時って勉強中だったの?」

「うん」

頷いてみせると、真純は慌てた。

「ごめん! わたし、いきなり電話かけちゃって……」

「いいよ、赤崎さんは悪くない。電話に出た僕が悪いんだ」

その気になれば、無視することもできたのだから。

「あのあと、電話かけ直したんだけど、電源切られてたみたいだったけど……」

「うん、まあ、なんというか。携帯、父親に取り上げられちゃって。寸前で電源切ったからね」

「取り上げられたの!?」

みるみるうちに真純の瞳が波打つ。

それを見てすぐにフォローにかかる。

「や、でも大丈夫だよ。僕、そんなに携帯使わないし。メールする相手も少ないしさ。へっちゃら、へっちゃら」

「う……でも。そんなに厳しいお父さんなら、この時間に外出るのもダメだったんじゃないの?」

ヘンなところ鋭いなぁ、と苦笑いがこぼれてしまう。

「じつは、家を出る前に両親相手にすごい怒られたんだ。こんな時間に外に出るヤツがあるかぁーッて。でも、僕は赤崎さんのことが心配だったから」

「わたしの、こと?」

「いきなり電話がかかって来たから、きっと大事な話だろうって思って。それで、明日まで待てずに、会いに来たんだ。迷惑だったかな?」

ブンブンと勢いよく真純は首を振った。

「ううん、全然! すっごく嬉しい!」

明るい表情をした彼女だったが、すぐに陰りを見せる。

「でも、宇垣くん……このあと、家に帰ったら怒られるんでしょ?」

「う――」

そこを突かれると、苦しかった。

「まあ、なんとか適当に言っておけばいいから。赤崎さんは気にしなくていいんだよ。あ、そうそう。今度から、電話する前には必ずメール送ろう」

「……うん。ごめんね。今度は気をつけるから」

罪悪感があるらしい、真純の表情はやや暗くなっていた。そんな彼女に、智秀は笑って「大丈夫」と言った。

「携帯返してもらったら、すぐに教えるよ」

ちらっと部屋の時計を見る。

時刻はとっくに午後十時を過ぎていた。


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