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宇垣くんは言った――友達がいるから学校に行くのかもしれない。
お母さんは言った――嫌なことよりも楽しいことのほうが多かったから学校に行っていた。
どちらも、同じことを主張している。
友達がいるから学校は楽しいのだ、と。
楽しくなかったらきっと行きたくなくなる、と。
じゃあ……わたしは?
わたしは、いじめられてるから、学校に行きたくないの?
ううん。
違う。
たぶん、いじめは原因であって、原因じゃない。
いじめられてるのはたしかに苦しくて、ツライこと。
けど、そんなことよりも、一番苦しいのは、誰も助けてくれなかったこと。友達だった人達が、遠くへ行ってしまったことだ。
今は?
宇垣くんがいてくれる、今は?
まだ、わたしはひとり?
宇垣くんは「もう一度頑張ってみないか」と言ってくれた。
わたしが学校へ行くと言ったら、彼は本当に、教室で味方になってくれるだろう。
けど、たった一人が近くにいてくれるようになっただけで、いじめは終わるのだろうか。
――きっと、終わらない。
宇垣くん一人の力で、いじめが無くなるなんてことはありえない。
だったら。
わたしは、どうしよう?
いじめを無くす方法。
いじめから逃げる方法。
やっぱり転校しか、ないよね……。




