6
学校へ行くわけは、実際のところ、なんだろう。
彼女には「友達がいるから」と答えてしまったが、本当のところは自分でもわからない。今までそんなことを意識したことなんて無かった。
赤崎さんがそういうのを考えるのも、当然……か。
行きたくないのに、行かなければならないのだ。赤崎真純が学校へ行く理由を求めるのも、不思議ではない。
きっと、納得のできる〝理由〟が欲しいのだろう。
ついさっきまで話していて、痛いほどわかった。
赤崎真純は、悩んでいた。
これからどうすべきか。
もちろん学校に属している以上は、そこに通うべきなのだ。おそらく一般的な観点から見ても、この考えに異論は挟めまい。
けれど。
そんなジョウシキは、当事者にとっては単なる暴力。あのクラスメートに「学校へ行くべきだ」と強制するのは、あまりに非情だ。
僕の言葉は、正しかったのか?
後悔の念が、心の底からじわじわと這い上がってくる。
もう一度、頑張ってみないか。
彼女に言ったあの言葉は、本当に良いものだったのか。
最後には笑顔を浮かべていたが、内心では傷ついたのではないだろうか。
自分は味方だ、なんて言っておきながら、追い詰めるようなマネをしたのではないだろうか。
――はたして、あの時、彼女に何と言えば最善だったのだろうか。
ダメだ……。
考えても、判らない。
青樹叶の声が、聞きたかった。
宇垣智秀はどうするのが一番良いのか。青樹叶だったら、それを教えてくれる。そう、確信があった。
胸ポケットのロザリオに、服の上から触る。
彼女の分身は今もここにいる。
けど、会えるのなら、本物の彼女に会いたい。
いいですよね……叶さん。
智秀は自宅への帰路から大きく逸れて、教会への道を歩き始めた。




