私の弟が妹になってしまいました。
設定を考えていたら、楽しくなってしまってつい書いてしまいました。
生まれた時からいつもそばで誰よりもお互いを見つめる存在。
私は女であいつは男で。
だけど、それだけの違い。
私のことを私よりもわかっているのがあいつで、あいつのことを誰よりもわかっているのは自分だと、今の今まで確信していたのに。
絶対。間違いなく。
今だって、私の目に映るこれは夢だと思いたい。
またはどっきり!そうだ!どっきりだ。
失恋して沈んでいるわたしを驚かせようとしてこんなことを。
「おおおうい!おい!だめだ。固まってる。どうすんの、この状況。」
「想定内だ。しばらくしたら戻ってくる。第一声は」
「「卯月!おねえちゃんを驚かせないで!」」
「ふははははは!!お前らさいこー!!」
あたし、弥生。
誕生日、3月31日。双子の弟卯月、4月1日生まれ。
3月生まれで弥生。あんちょこな命名に涙がでる。後から生まれた卯月だって同じ3月生まれだったらどうするつもりだったのよ!
母さん至上主義な父さんなら、「母さんの辞書に不可能の文字はない!』なんて断言しちゃうんだろうな。
隣で馬鹿みたいに大口開けて笑い転げているこいつは、葉月。
ほんと、世の中どうなっているのか。
たまたま、引っ越してきた隣の家の男の子の名前が葉月って。
夢見がちな女の子なら『運命』なんて思うんだろうな。あたしは違うけど。
『運命』を感じたのは両家の親達。
初対面から仲良くなるのはあっという間だったようだ。私たちはまだ赤ちゃんだったから覚えてないけど。思い出話に、写真にビデオ、それだけあれば納得ですよ。はいはい。
そんなわけで、私たちはいつも一緒に育った。
家族旅行まで一緒って、もう親戚より付き合い深いよね。
だから、顔も性格も名字だって違うこいつを3つ子の弟なんて呼ばれるようになったわけ。
双子の私たちもなぜか似てないから、三人三様ってことで違和感ないのかな。
現実逃避している場合じゃなかった。
「卯月!どういうことかちゃんと説明しなさい!」
中学に入ってからにょきにょきと大きくなって、小さめな私からすると見上げる程上にある顔をにらみつけて。お姉ちゃんの威厳は保たないと。
「今日から卯月ちゃんと呼んで♡」
「ぎゃはははははは!!!」
私の弟が妹になってしまいました。
これ、裏設定とかいっぱいこもっているのをさらっとにおわせています。
生まれ月の名前。ちょっと憧れていました。
うちの子も8月生まれなので、葉月も名前候補だったんですよ。