仮の姿
・・・・長い。
長いぞ最高司令官。
ただいま俺、カルマは所属先の最高司令官のリディルさんからS,Cに纏る講義を受けている。
内容で言えば、「基本概要」「システム」「武器の種類」「覚悟はあるか」
此処までは順調である。ただ次からは…
「好きな飯」「私は妻の料理が好きでなあ」「妻とはあそこで出会ったんだ」「お前らそういう話しは無いのか」「つまらんのう」「etc,,,」・・・・・。
ふう、あくびを噛みこらえるのにももう飽きた。ただし目の前には上官。上下関係、最高。
兎に角どうしてこうなった、上官殿は厳格な性格では無いのか、違うのか。
……あ、こらクラウン欠伸こらえろ。
そんな感じな俺らに神様が降臨するのはそれから10分後。
「リディルさん!また余計なことで時間使って!」
神の声に俺とクラウンは振り向いた。
飛び込んできたのは女性、女神だった、歳は24〜28あたりか。ベージュ色の作業着に身を包み、全身煤だらけ、金髪でゴーグルをしている女性だった。
いかにも「私、科学技術班です!」な人。
「むぅ、カトレア君、良いでは無いか、新人君と話すくらい。」
リディルさんはこれからっだったのに、とも言わん表情で「カトレアさん」を睨んだ。
「まったく、話し始めてから何時間経ってます?ヘリパイロットが困り顔で助けを求めてきた時はまたかと、ええまたか!と」
「あ〜あ〜わかった、わかったからそちらの用件はなんだね?」
リディルさんはどうやら親身に接せるタイプっぽいな、いや、面倒くさいかもだが。
「はぁ、だからかれらのS,Cが構築済ですって、さっきも行ったでしょう。」
「おお!そのことか、すっかり忘れとったな」
どうやら俺らのS,Cの事らしい。俺の横でクラウンがうずうずしていた。
「俺らのS,Cっすか!?」
目が輝いておられる、まぁ、俺もとても気になってはいるが。
「そうよ、あなた方専用のね。最高司令官、彼等をガレージに連れて行きますが?」
「ああ、そうしなさい。」
まるでさっきの話はなかったことかのように威厳が戻っておられた。キャラチェンはやーい。
「さぁ、着いてきて二人とも。ワクワクするでしょう?」
「「はい!」」
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俺達が連れていかれた先はどうやらS,C格納庫だった、機内にこんな巨大な所があるとは、いやはや恐れ入りました。
ゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!
壮大な音と共に扉が開く、中には数人の作業員と何機もある大きなロボットスーツ、S,Cがあった。
「うゎあ・・・!」
「すげぇ・・・!」
俺らはそれを見た瞬間、感嘆の声を漏らした。
S,Cの事は知っていたがなにしろ実物を見るのは初めてだ。
それらは赤かったり青かったり、ずんぐりしていたりシュッっとしていたりした。
どの機体にも俺らのアカウントカードの用に、W・Wと書かれていた。
「こっちよ。」
そう言って奥に進むカトレアさん、金髪が揺れていた。
「……こ…これが……。」
巨大で真っ赤な機体がそこにあった。強固そうな装甲にいかにも高火力そうなランチャー。
クラウンのS,Cが膝を突いた状態でそこにあった。
「これが俺のS,Cか・・・。なんつーか、支援機?」
おや、と言った顔でカトレアさんはクラウンに顔を向けた。
「大正解、これは私たちのS,C第100機。銘を《キャノンボール》。」
「かっけー!」
カトレアさんは笑みを浮かべた。
「さぁ!悪いけどつぎ行くよ!詳しい説明はまた後。カルマ君の行くよ、自信作なんだよねぇ。」
そう言いながら彼女はさらに奥へと進んでいった、少し行った所で立ち止まり振り返る。
「さぁ、カルマ君のだよ、大事にしてね、君の仮の姿なんだから。…さぁ、これが・・・!」
目の前には真っ白で細みな機体が佇んでいた。さしづめ、白きウォーリア。
天空の覇者、ってか?
カトレアさんが自慢気にいった。
「これが、次世代のS,C、第一号機、これが…」
彼女はこう言い放つ。
「スティールウィンド!!」
NEXT...