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閑話4 可愛いお姫さま


 今日は、ロアンさん一家が公爵邸に遊びに来ている。


 ディアナさんとエレンは、今日もたくさん服についての話で盛り上がっている。


 ロアンさんは、レアンと一緒に近況について語るために執務室にこもっている。


 兄弟水入らずで話したいこともあるだろう。


 私はというと、シェルミィちゃんのことを預かって一緒に遊んでいるところだ。


「クマさん、おいしいケーキあげる。」


「わあ、ありがとう!もぐもぐ……おいしい!」


 シェルミィちゃんがぬいぐるみが好きなのは知っていたため、あらかじめたくさん用意しておいた。


 すると、思っていたよりも早く私に慣れてくれたのだ。


「あの、お姉ちゃんって呼んでもいいですか……」


「もちろん!!シェルミィちゃんの好きに呼んでいいからね!」


(な、なんて可愛らしい子なの〜!!)


 心の中でそう叫びながら、上がっていく口角をなんとか抑える。


「お姉ちゃんは、妖精さんみたいね。」


「妖精?」


「うん。かわいくて、綺麗で……絵本の中の妖精さんみたいだって思ったの。」


「それなら、シェルミィちゃんはお姫さまだわ。こんなに素敵な女の子は中々いないもの。」


 シェルミィちゃんにそう言うと、顔を真っ赤にして俯いてしまった。


「……本当に、お姫さまみたいに素敵?」


「ええ、とっても!」


「……えへへ。」


(ま、眩しい……!!)


 太陽だと勘違いしてしまいそうな笑顔に、思わず目を閉じてしまった。


 あの恥ずかしがりやのシェルミィちゃんが、私に無防備な笑顔を見せてくれた。


 それがなんとも可愛らしい。


 すると、部屋の扉が開いてロアンさんが顔を出した。


「シェルミィ、帰るよ。」


「え……もう……?」


 シェルミィちゃんは私の方を向いて、引き止めてほしそうな顔をした。


 しかし、ここで引き止めてしまえばロアンさんとディアナさんに迷惑がかかるかもしれない。


 私は泣く泣く送り出すことにした。


「今度、また新しいぬいぐるみを用意しますから。」


「やだ、お姉ちゃんと一緒がいいもん。」


「うっ可愛い……あっ、そうだわ。」


 私は手から小さな妖精……を模した魔力の塊を出して、シェルミィちゃんの方へ飛ばした。


 キラキラ光る粉を振り撒きながら、シェルミィちゃんの頭の周りをくるくる飛んだ。


 そして、小さな額にキスをして、妖精は光り輝いて消えた。


「おまじないをかけたから、もう大丈夫よ。妖精さんはいつでもシェルミィちゃんのそばにいるわ。」


「本当?えへへ、やったあ!」


 シェルミィちゃんは納得したようで、ロアンさんの方へ走っていった。


 それから間もなくディアナさんとエレンが来て、玄関ホールまで一緒に歩いた。


 シェルミィちゃんはずっと額を気にしている様子だった。とても可愛い。


「またね、お姉ちゃん!」


「いつでも待ってますからねー!」


 馬車の窓から手を振るシェルミィちゃんにそう声をかけて、小さくなっていく馬車に手を振り続けた。


(子供って、本当に可愛い。)


「私も子供を育ててみたいなあ……」


 何気なくそう呟いた瞬間、レアンがむせてしまったようでゴホゴホと咳をしてしまっていた。


「大丈夫ですか?」


「こほっ……ルチェット、それは本当か?」


「え?は、はい。」


「そうか……そうか……」


 噛み締めるように二回そう繰り返してから、屋敷の中に戻っていったレアン。

 

 何故嬉しそうにしていたのか、この時の私は知る由もなかった。


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