閑話3 リメアとカオン その1
「リメア。どこかにお出かけでもして、美味しいものを食べてきたらどう?」
「いえ!私はルチェット様の専属メイドですので、そういうわけにはいきません!」
ここ最近、私はどうにかしてリメアに休暇をとってもらうように説得している。
しかし、何を言っても『休みなんて、私には必要ない!』という意思が滲んでいる答えしか返ってこないのだ。
リメアは毎日休まず私の世話をしてくれていて、なんだか申し訳なくなってしまっている。
(もちろん自分でできることは一人でやっているが。)
それに、過去に戻ってくる前のリメアがどうなったのかわからない。
リメアは騎士団長のカオンさんのことを慕っていた。しかし世界はルミアさんの力で巻き戻されてしまった。
なので、リメアとカオンさんのデートもなかったことになってしまった。
私はリメアの恋路を応援したい。
だから、何としてでもデートに行ってほしいのだが……リメアが休むと言ってくれない。
(こうなったら……レアンに頼るしか……)
「__で、俺のところに来たのか。」
「はい……どうしたらいいと思いますか?」
執務室のソファに座りながら、レアンにそう問いかけた。
レアンは少しの間顎に手を当てて考えたあと、私にこう言った。
「カオンには話をしてみたのか?」
「いえ……」
「なら、カオンに休暇を与える。ルチェットがカオンを誘導すればいい。」
「な、なるほど……!!ありがとうございます!」
リメアではなくカオンさんが休暇をとって、そこでリメアを誘ってもらうように私がなんとかする。
とても素晴らしい作戦、さすがレアン。
「で、俺には褒美もないのか?」
そう言われた私は、子供みたいに褒美をねだるレアンの唇にキスをしてから、執務室を出て訓練場へ向かった。
「カオンさーん!」
「あれっ、夫人?」
挨拶を交わしてから、私はカオンさんに休暇が与えられたことを伝えた。
「それはまた突然ですね……」
「そこでなんですけど、頼みがありまして……」
「頼みですか?なんでも言ってください!」
「……私の専属メイドを説得してほしいんです。」
カオンさんは少しの間きょとんとして、それから頬を赤く染めた。
「何かあったんですか……?」
「リメアったら、休んでくれないんです!働いてくれているのはいいんですけど、少しは自分のことを労ってほしいんです!」
私がどれだけ休んでほしいかを力説すると、カオンさんは折れてくれたようで「いいですよ」と言ってくれた。
「でも、どうやって休ませたら……」
「お出かけに誘ってみてください、きっとカオンさんの提案なら……!!」
「う……わ、わかりました……!」
困ったように笑うカオンさんにお礼を言って踵を返した。
私はカオンさんに見えないところで、悦に入ってニヤリと笑った。




