閑話1 エレンの母親
「エレン、そういえば貴女のお母様はどうしたの?」
ふと気になった私は、私の部屋で一緒に紅茶を飲んでいたエレンに聞いた。
エレンは公爵邸で服を作っては、街にある店に卸している。街にある店とは、ディアナさんのお店。
私達だけで経営していた店をやめて、ディアナさんのお店と提携したのだ。
毎日楽しそうにしているので、私としてもこの上なく嬉しいのだが……
今は亡きお父様が連れてきた愛人の子。そんな立場だったエレンだが、その愛人がどうなったのか私は知らなかった。
「お母様のことですか?もう亡くなっていますよ。」
「ええっ!?」
あっけらかんとしてそう答えたエレンに、私は大声で驚愕してしまった。
(声が響いて恥ずかしくなった……)
「私が生まれてすぐに、イヴァスが身体に宿ったので『お前はは役目を終えた』ってお父様が……」
「ごめん、聞いた私が悪かったわ。」
「いえ……何も気にしてないですし、そもそも顔すら覚えてませんから!」
「エレン〜!!」
エレンが満面の笑みでそう言った。私はいたたまれなくなってしまい、力強くエレンを抱きしめた。
「私、母親にはなれないと思うけど……エレンのことをずっと大切にするから……!!」
困惑している様子のエレンは、語尾に疑問符を付けてこう言った。
「は、はい、これからもよろしくお願いします……?」




