表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/29

6.プログラミング

子供達と夫におやつを出し、自分もティータイムを楽しもうとしたら…

「さて!私もおつやにしますか」


珈琲を淹れ残ったドーナツで私もティータイム。今日のドーナツは85点。私には少し甘すぎたからマイナス15点。そう思いながら甘いドーナツを摂取し、本を読みながらのんびり過ごし…てたのよ!それが…

突然2階の永人の部屋から叫び声や奇声が聞こえてきた。尋常じない声に慌てて階段を駆け上がり、永人の部屋に飛び込むと…


「いや!ここはアイテム選択にするべきだ」

「違うよ父さん。アイテム買うためにミッションを先に入れないと!」


夫と永人がPCに齧り付き何かをしている。友達を放置して何をしてるんだと怒ろうとしたら


「おじさんも永人もスゲー!短時間でゲーム作っちゃうんだもん」

「次は僕の番だよ!」


なんと夫の書斎にあったTVとPCを持ち込み、即席でプログラミングし、作ったゲームで子供達と遊んでいたのだ。その状況を知った私は卒倒しそうになる。


『完全に井鷺氏に報告という名の始末書やん。いや下手したらまた引越し…』


そう思うと高速でタイピングする夫の手を取り、顔を近づけ子供に聞こえない小さな声で


『井鷺氏。報告。引越し』

「!」


そう呟くと夫はノートPCを閉じ、子供達に仕事に戻ると言い書斎に戻ろうとした。怒り心頭の私は大きな声で


「テ・レ・ビ!」

「はいー!」


夫は片手にノートPC、もう片手に50インチのTVを持ち書斎に戻って行った。夫を追出し深呼吸し顔を作ってから振り返り


「楽しんでいた所ごめんね。永人のパパ仕事があるから」


そう言い誤魔化した。察しのい永人は私が怒っているのに気づきテンションを下げる。友達は状況を理解しておらず、直ぐに別のゲームやカードゲームで遊びだした。それを見て胸を撫で下ろし永人の部屋を出た。そして直ぐに自分のノートPCを取り出し、監督者である井鷺氏にメールを打つ。


メールを送信し珈琲を淹れなおすと井鷺氏から着信。直ぐ出ないといけないのに手が伸びない。さすがに5コール目に出ると


『井鷺です。お世話になります。状況確認です』

「いつもお世話になっております。ご迷惑おかけしております。今回は相手が子供なので大丈夫だと…」


そう言うと電話口から特大の溜息が聞こえてきた。それを聞き井鷺氏の小言を覚悟する。


『とりあえず彼が作ったゲームを完成させ、今から送るサイトに登録して下さい。ちなみにゲームは簡単な物に仕上げて下さい。彼なら簡単でしょう』

「サイトに登録?」


井鷺氏の対策は無料ゲームサイトを作り、夫が作ったゲームは2日前に登録された別人のゲームと偽装。子供達と遊んだゲームはこのサイトのゲームだったと押し通す様だ。相手は小学1年生でまだ騙されてくれる年頃だから大丈夫だと判断した様だ。

井鷺氏からあの場にいた子供の名前を聞かれ、井鷺氏はその子供の親も調査し、親にITに詳しく者がいない事も確認済み。本当に卒がない井鷺氏だ。

夫の遣らかしを誤魔化すためにゲームサイトまで作ってしまう《あそこ》は恐ろしい。でも《あそこ》が無ければウチの家族は生活はできなかった。

サポート及びフォローをしてくれる井鷺氏に感謝しかない。


電話を切り直ぐに夫の書斎に行き井鷺氏の指示を伝えると、反省しているのか夫は直ぐに先程のゲームの続きを作り始めた。

私は邪魔にならない様にそっと部屋を出て永人の部屋に行き、子供達に帰り時間だと告げ片付けを促す。子供達は素直でみんなで片付けを始めた。それを見て安心し私はキッチンに戻り夕食の準備を始める。


“ピンポーン”


インターホンが鳴りモニターを確認するとお向かいの鈴木さんだった。溜息を吐き玄関に向かい扉を開けると、満面の笑みだった鈴木さんの奥さんの顔が素に戻る。この奥さんは夫目当てなのよね…


「また夫が沢山茄子を収穫して困っていたの。良ければ食べてくれる?」

「いつもすみません。ご主人にお礼を伝えて下さい。そうそうウチも…」


ある物を思い出し取りに行き


「今朝焼いたパンです。良ければ食べて下さい」

「あら〜嬉しいわ。香里さんのパンはお店の物より美味しいから夫が喜ぶわ」


鈴木さんの奥さんはそう言いながら、うちの奥に視線を向けた。多分夫登場を期待しているのだろう。しかし夫はプログラミングに必死で暫く書斎から出てこない。この奥さんに夫を会わすと、中々帰らないから嫌なのよ。


夫が出てこないと分かると、奥さんはあっさりと帰っていた。今日何度目かの溜息を吐くと2階から子供達が降りてきた。


お読みいただき、ありがとうございます。

続きが気になりましたら、ブックマーク登録&評価をよろしくお願いします。


『いいねで応援』もポチしてもらえると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ