5.真実を
体育祭も無事終え、今後のことを夫婦で相談し…
体育祭で疲れ夕飯の支度ができない思った私は、昨晩カレーを作り置きしてあり、サラダだけ作り早めに夕食を済ませて休む事にした。
永人は食事中も興奮気味に沢山話をした。パパ自慢できた満足している。どうやら例の拓斗君をギャフンと言わせた様だ。そして沢山話した永人は電池切れで居間で寝てしまい夫が部屋まで運ぶ。そして夫婦二人になると私を抱き込んだ夫が
「今日の永人を見ていて、そろそろ話をした方がいいと思ったよ。僕の血を受け継いだ永人はコントロールを覚えないといけないしね」
「まだ早くない?」
そう言ったが夫は必要だと譲らない。でも話すとなると自ずと《あそこ》へ報告も必要になる。それを思うと気が重くなる。そんな私に口付けた夫は微笑み
「永人は僕達の子供だから理解できるよ」
そう言い更に強く私を抱きしめる夫。プロポーズを受けてから、夫は言ったことは全て実現してくれた。
『そう夫は故郷や家族より私を選んでくれたんだ』
だから今回も夫を信じてみようと思う。
この後いつ話すか相談し大凡の時期を決め、《あそこ》にどちらが報告をするか話し合う。先程から言っている《あそこ》と言っている所は市役所の様な所だ。私は《あそこ》がめっちゃ苦手なのだ。苦手な理由は出会いが最悪だった事と、私達が今の生活をする迄に色々あり苦手になってしまった。
「僕が行ってもいいけど、ここの常識に疎い僕だと話が長くなっちゃうから…ね。香里さん頑張ろうか」
「ですよねー」
結局報告は私がする事になった。まず永人に話す前に報告しなければならない。溜息をついたら夫が私を抱き上げ寝室まで運んでくれる。そんな事で機嫌は治らないが、機嫌取りをしてくれる夫に愛を感じ、この日は大人しく眠りについた。
体育祭から永人の交友関係が広がり、友達が遊びにくる事が増えた。夫に似て優れた身体能力を持つ永人だが、性格は夫と同じでインドア派なのである。
友達とももっぱらカードゲームや流行のゲームをして遊ぶ事が多い。
「ただいま!」
いつもの時間に帰ってきた永人は、友達が来るから部屋で遊んでいいか聞いてきた。今日は夫が書斎で仕事をしているから、騒がない事を条件に許可する。
夫もプチ引きこもりで在宅の仕事をしている。クライアントからの依頼で翻訳の仕事をしているのだ。仕事の8割があそこからの依頼で、残り2割が知り合いの伝手の仕事だ。
丁度おやつの時間に永人の友達が来るから、簡単なお菓子を作り先に夫に出す。夫は甘い物好きで揚げたてのドーナツを喜んで食べていた。
そして時間になり友達が来たが…
「「「「「こんにちは」」」」」
「あーこんにちは」
うちに来た永人の友達は5人。多いが驚く人数ではない。訳あり固まる私に子供達は挨拶をし、永人に案内され永人の部屋に入って行った。
なぜ驚いたかと言うと、あの拓斗君が居たのだ。おやつの準備をしながら色々考えていたら永人が来た。
友達が来ていない事を確認し、永人に何故拓斗君が来ているのか聞いたら
「多分春樹に付いて来たんだと思う。体育祭から拓斗は嫌な事を言わなくなり、今まで遊ばなかった子とも遊んでいるみたいだよ。僕も嫌な事言わないなら嫌じゃないし」
「そうなんだ…まぁ仲良く遊びなさい」
そう言うと部屋に戻って行った。そして頃合いをみておやつを出すと、みんなお礼を言い楽しそうにおやつを食べ始める。礼儀正しい子達にほっこりする。食べ始めた子供達を見ていたら、1人の子が
「永人君のお母さん」
「何?」
「永人のお父さんゲームが上手だって聞いたけど、1ゲームだけ一緒にしたらダメ?」
そう言うと皆んなが期待した目で私を見る。仕事中だが、多分今はおやつタイムでまったりしているはず。一応確認してみるが期待しない様に言い、夫の書斎に向かう。
「え!いいの僕も永人の友達の輪に入って!」
「いいみたいよ」
そう言うと速攻で永人の部屋に向かった可愛いウチの夫である。しかしこの後、夫と永人はやらかす事になるなんて、この時の私は知らずにいた。
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