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3.やる気

夫の秘密がバレない様に細心の注意をはらったが、拓斗ママの煽りにやる気が出してしまい…

目立たない様にと心掛けていたのに、優しい夫を揶揄されやる気が出て来てしまった私だった。

午前中の永人の出る競技は棒引きと玉運び。低学年の競技はとても可愛らしく見ていて笑みがこぼれる。隣に座る夫はずっと永人をカメラで追い、“可愛い”を連発している夫はヤバい奴に見える。


『やっぱり夜なら通報されるな…』


そう思いながら私は可愛い夫を愛でて午前の競技を終えた。この後1時半の昼休憩を挟み午後の競技となる。保護者リレーは午後から2番目の競技だ。

児童は教室に戻り昼食を食べ、保護者は一旦食事を摂るため帰宅するが、学区が一番遠い地域のウチは、学校が解放してくれた体育館で持って来た弁当を食べ休憩をする。そして少し早めに体育館を出て保護者が使えるお手洗いに行き夫の準備を始める。

夫に着替えを渡し夫はお手洗いの個室で身支度をして出てきた。


「香里さん。これでいい?」

「はぁ…やっぱり美しい…」


髪を撫で上げ後ろで纏め、ジャストサイズのジャージに清潔感漂う白の半そでTシャツの夫。細マッチョでスポーツ選手の様な体をしている。そして初披露された美しい御尊顔。少し青みがかった瞳と鼻筋の通った高い鼻に形の良い薄い唇。これが本来の夫の姿なのだ。訳あってずっと容姿を隠している。うっとりと夫を見上げていたら、少し屈み顔を近づけて


「こっちの僕()好き?」

「うん。()()()()だよ」


そう応えると夫は触れるだけの口付けをした。ここはあまり人が通らず少しイチャイチャしていたら、放送で保護者リレーの参加者が招集された。夫は手を振りながら走って集合場所に向かう。私は保護席に戻るとまた拓斗ママが視線を向けて来たが無視をした。そして保護者リレーの走者の入場がアナウンスされると、場内に驚嘆の声が上がる。そして後ろにいる拓斗ママが声を上げ夫に手を振り、自分の夫をアピールしている。そんな中会場の視線を集めるウチの夫。隣の佐久間ママが


「あのイケメン誰のパパなの?あんなイケメン見た事ない」


そう言うと他のママも誰のパパなのかと騒ぎ出した。その言葉を聞きウチの夫に視線を向けた拓斗ママは口を開け固まる。恐らく今日の保護者リレー主役は自分の夫だと思っていたのだろう。予想外の状況にフリーズしてしまった様だ。そして永人が児童席からスタンバイしている夫に声をかけ、夫は手を上げ応えた。

その瞬間凄い数の視線が私に集中する。そして隣に座る佐久間ママが


「えっ!あのイケメン永人パパ⁈」

「あ…はい」


イケメンの正体が判明し騒然とする場内に教頭が進行できないと注意をし、やっと場が収まり保護者リレーがスタートする。

リレーは1年から6年の保護者が各4名選ばれ、4チームを作り100m×6名リレーを行う。うちの夫は第5走者の様だ。見ていたらじゃんけんをし直前に順番を決めた様だ。


『アンカーじゃなくて良かった。アンカーだと目立つもんな…』


そう思いながら見ていたが、結局我が夫は順番関係なく目立つ事になる。


夫は青組。同じチームの第2走者が最終コーナで脚がもつれ転倒し青組は最下位に。第3、4走者が奮闘し夫がバトンを受けたのが3番目。2位の走者がすぐ目の前だが、先頭を走る桃組は半周先を走り1位は確定だと思われていた…が!

お読みいただき、ありがとうございます。

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