表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/36

26.異界の女

饒舌な夫に聞いてみたい事があり…

はたかれたのに今度は腰を撫でだしたので、思いっきり抓ってやった。そしてじっと見て話し続きを催促する。おさわりを止めて観念した夫は語りだし


「僕が成人(15歳)を迎えた誕生日に神殿に行き予言を受けたんだ」


初代王のアレスの力を受け継いだ王子は、15歳の誕生日に神殿で伴侶となる女性の特徴を神から授かる。そして19歳までに異界で花嫁を見つけまぐわねばならない。もし探し出せなければ王太子の位を返上し弟に王位を譲る事になる。そうなると初代王アレスの能力は次の代に受け継げず国の衰退が決まる。その事もあり王は子を沢山儲け、アレスの能力を継げるようにする。夫の兄弟姉妹は第1子から代7子まで女児で、代8子の夫がアレスの能力を受け継いだ。

そして夫が異界の伴侶を得れない可能性を考え、夫の後に3人弟がいる。現国王(夫の父)はアレス程の能力は無い。3代前がアレスの能力を受け継いだが、異界の伴侶を得ることが出来ず、2代前の王は能力を持たなかった。

そして次の王である夫の父は辛うじて言語の能力を授かった。その上授かる子は女児ばかりでかなり焦り、子を沢山得るために側室を4人も迎え、夫は第4側室を母に持つ。

そんな背景から異界の伴侶を得る事を期待されていた。

夫はそんなプレッシャーの中育っている。


「まだ幼い僕にはプレッシャーだったよ。まだ見た事もあった事も無い女性に童貞(初めて)を捧げなければならないし、全く知らない世界に一人で行かなければならないんだよ」

「そうだね。神様の予言は厳しすぎるね」

「でも今はその予言をくれた神に感謝しているよ。だって香里さんに巡り合えてたし最愛の息子を儲けれたんだから」


そう言い私の両頬を手で包んで口付けた。口付けで満足した夫はこちらに渡って来てからの事を話しだした。


「予言は黒い目と黒髪の女性で僕より年上である事だった」


予言を聞いた夫はゲートが繋がっている異界で、黒い目と髪の人種が多くいる地域を絞り異界に渡って来た訳だ。15歳から4年間。ここ地球以外の次元にも相手を探しに行ったが会えずに、最後にここ地球に来たそうだ。


「そもそも黒い目と髪の女性なんて星の数ほどいるでしょ。その中からどうやって相手を見分けるの?」


そう聞くと夫は私の頭を両手で抑え込み顔を寄せ私の瞳を覗き込んだ。意味が分からず藻掻く私。夫は瞼に口付けてから私を開放して


「瞳の奥を見れば分かるんだ」

「瞳の奥?」

「そう。瞳の奥に熱を感じるんだ」


そう言われ夫と初めて出会っと日の事を思い出した。今みたいにいきなり顔を近づけられ、ビンタした記憶がある。おそらくその時に私の瞳の奥を覗いていたんだ。


「香里さんを一目見た時に全身が震えあがり、初めての事で驚いたんだ。そして無意識に行動し香里さんの瞳の奥を見たんだ。そしたら焼き尽くされそうな熱を感じ、自分の運命の相手だって直ぐに分かったよ」


夫は当時の事を思い出し熱く語った。出会った時はリミットギリギリで半ば諦めていたそうだ。4年もの間付き人も無く、一人で知らない土地で旅をして疲れ切っていたのだろう。

初めて夫と出会った時。夫は無精髭にぼさぼさの長髪にヨレヨレの身なりで、失礼だが浮浪者にみえた。動きも怪しく夫を避けて足早にその場を立ち去ろうとしたのよね私。


まさかそんな男を夫に向かえ、それも出会って1ヶ月で結婚するとは思いもよらなかった。

お読みいただき、ありがとうございます。

続きが気になりましたら、ブックマーク登録&評価をよろしくお願いします。


『いいねで応援』もポチしてもらえると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ