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25.ゲート

離婚の危機を思い出し、今の幸せを噛みしめ…

あの喧嘩の日から夫との距離が縮まり夫婦らしくなったと思う。口調も仕草も中性的な夫は頼りなく見え、短気でせっかちな私の方がしっかりして見える。しかし夫はここ一番の判断と行動力があり、精神的に私の方が頼っている。


そう言えば…


「そろそろゲートが変わる頃じゃないの?」

「そうなんだ。今のところは近くてよかったのにね」


ゲートと呼ばれる異界とコンタクト取れる場所は数年で変わってしまう。学の無い私は井鷺氏に何度説明を受けても理解できないが時空の歪みが関係しているらしい。

今のゲートは車で1時間ほどの山の中腹にある洞窟の先にあり便利だ。あの喧嘩をした時のゲートは車で4時間かかる所にあり、ゲートを往復するだけで1日があっという間に終わってしまう。

ゲートがある空間は大きな水瓶が真ん中にあり、その水瓶の水面を使い異界とコンタクトを取る。異世界やゲート等は小説や漫画の作り話だと夫に会うまで思っていたが、自分の知らない所で存在していた。


『現に異世界人と結婚してるし…』


そう思っていたら夫が永人に部屋で通信教育の課題を終わらせるように言い部屋に連れて行った。それを終えないと回転寿司に連れていかないと言われた永人は、大人しく部屋に向かった様だ。

リビングに戻ってきた夫の表情は甘くい。そして徐に私を抱き上げてソファーに座りひざの上に私を下ろし抱き込んだ。


「昔の話をして香里さんに離婚を言い出された時の事を思い出し身が縮んだよ。あんな恐怖は二度と味わいたくない」


そう言い甘えてきた。あの出来事から喧嘩は一度も無い。小さないざこざはある…っと言うか夫の突飛惜しみも無い行動に、私が切れる事が多いけどまぁ仲良くしている。そこでふと疑問が浮かび聞いてみる事にした。過去に何度か聞いた事があるが上手く誤魔化されて真意は聞けていない


「ねぇ?聞きたい事があるの」

「今の僕は機嫌がすこぶるいいから何でも応えるよ」


よし言質は取った。ならば聞いてみよう。


「さっきの永人にした説明ではクラストスカ王国の初代王の生まれ変わりは、異界から妻をめとらなければならないのは分かったわ。じゃぁ異界の女性なら誰でもいいの?」


本当に単純な疑問だ。そう質問すると何でも聞いてくれって言ったのに黙り込む夫。言質は取ったからパスは許さないぞ。そう思い顔をよせると花嫁捜し旅の様子を話してくれた。


「異界の花嫁は誰でもいい訳じゃないんだ。予言があり僕と体や性格、遺伝子レベルで相性のいい人でないと」

「えっ?て事は私は…」

「全てにおいて相性いいでしょ僕と。特に体は!」


そう言い夫は私の太ももを撫でだした。反射的に手で払い”異界の花嫁”探しについて詳しく聞く事にした。

お読みいただき、ありがとうございます。

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