21.真実
実家から帰省後、約束通り永人に夫の秘密を打ち明け…
実家から帰り直ぐ我が家は通常運行。夫も永人も疲れが無く羨ましい。私は2日ほど疲れが出て家事が疎かになり夫が手伝ってくれた。
そして少し余裕が出てきた水曜日。海に行った時の写真を整理していてふと思い出す。浮き輪の件を井鷺氏に報告していない事を… 自分の中ではセーフ案件で記憶の片隅に追いやっていたが、後で小言を言われたくなくて慌ててメールを打つ。送信後、井鷺氏の返事が珍しく早くて不安になる。
「こんな時の井鷺氏…怖いな…」
そう思いながらメールを読むとお咎め無しな上に、出張で私の田舎に来ていた井鷺氏はとてもいい所だったと出張の感想を送って来た。本当に自然しかない田舎のどこに彼の心を打たれたのだろう?
「まぁ機嫌がいいと小言を聞かなくていいから良しとしよう」
意味不明だが安心し週末を迎えた。
今日は朝から永人がそわそわしている。今日は夫の秘密を永人に話す日。当の本人はケロっとしていて、私1人がドギマギしている。午前中は家族で買い物に行き昼食後に夫が動いた。部屋から永人を呼び3人掛けのソファーに座る。
私と夫の間に座る永人は緊張している様だ。そして紅茶を一口飲んだ夫が永人に
「永人は父さんが他のお父さんと違うって思った事あるかい?」
そう問うと永人は下を見て考える。恐らくこの子なりに気を使い言葉を選んでいるのだろ。すると夫は何も気にせず思った事を言えばいいと言い、永人は小さな声で話し出した。
「父さんは他の人より力持ちだし足も速い。それに色んな国の人とも話が出来る。初めは僕それが当たり前だっと思っていたけど、お友達から家族の事やお父さんの事を聞いて変だと思ったんだ」
一生懸命自分の言葉で伝えようとする息子を隣で見ていて胸が苦しくなる。永人の話を一通り聞いた夫は、書斎から持って来た書類箱を開け中から古びた布を出した。そしてそれをローテブルに広げる。永人はその布を見てから困惑した目で夫を見る。そうその布には地図が書かれていて、夫は地図の中心の大陸を指さし
「ここが父さんの故郷だよ」
「父さんここどこ?」
永人の質問に夫は深呼吸をして…
「この地球と違う次元のサウルスと言う惑星にある国でクラトスカ王国だ。父さんはこの王家の第8子にして王太子なんだ」
「???」
困惑し永人が固まった。そりゃそうだろう。私も初めて聞いた時に(夫は)妄想癖のあるヤバい奴だと思った。驚いき言葉が出ない永人。ここは私がアシストしよう。
「永人が今見ている冒険アニメの主人公いるじゃない。あの男の子と同じ感じだよ」
「!」
永人は今ハマっているアニメがある。それは元はライトノベルでコミカライズ化され、後にアニメなった異世界冒険物語。日本に住む中学生がある日。異世界に転移し読んでいた冒険小説を参考に異世界で冒険するお話。その主人公に例えれば分かり易いだろう。
「賢人(アニメの主人公)と同じって事は…父さんは異世界から日本に来たの?」
頭のいい永人は直ぐに状況を理解し、目を輝かせて夫に詰めよった。
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